「マルハナバチのパラドクス」を聞いたことがあるだろうか? マルハナバチやクマバチは体は丸々と大きいのに、羽根は信じられないぐらい小さい。航空力学の専門家が「これは飛べないんじゃないか?」と言ったのだそうだ。そこで今回は昆虫の飛び方の新常識を紹介する。
■マルハナバチは反重力で飛ぶ?
航空力学で計算すると、マルハナバチやクマバチは飛べないそうである。飛べないはずなのに飛んでいるので「マルハナバチのパラドクス」という。ただ、いくら「航空力学的に飛べない!」と言っても、実際には飛んでいるんだから計算間違いか観察不足だろうというのは科学な見方で、そうじゃない人はこう考える。
「そうか! ハチは反重力で飛んでいるんだ!!」
反重力か! ハチを集めたら、タケコプターがいらないよね、ドラえもん! 痛い、痛いよ、めっちゃ刺されたよ、ドラえも~ん!
反重力はともかく、重力を打ち消す何かの力があればハチは浮くはずだ。そこででできたのが「音で浮く説」だ。神話などで歌を歌うと石が浮くというものがあるが……、
「それはただの言い伝えではない。音には重力を遮断する力があり、現在は失われた超古代の技術、ロスト・テクノロジーなのではないか?」
と主張する方々もいる。なんてロマンティックなんだ!
■「音で物を浮かす」技術はすでに実現していた!
まあ、歌で石が浮くかはともかく、超音波で物を浮かせる技術は実在する。音響浮遊技術といい、研究段階ではあるものの、当初は1グラム以下だったものが、現在は数グラムのものを浮かせられるようになっている。
将来、ピンセットとして超高精密加工に利用する、薬を体内の特定の場所へ誘導するなどの使い方が考えられている。さらに、人間を空中に浮かべることも、真剣に考えられているそうだ。
音響浮上技術はモノに周囲から超音波を当て、モノを支える。逆にハチが超音波を発して周囲に反射させ、音響浮上で飛行するのでは? というわけだ。