田亀源五郎
田亀源五郎
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 5月23日、イギリス・ロンドンの大英博物館で、日本の漫画をテーマにした展覧会『The Citi exhibition Manga』展が開幕した。

 同展は日本の作家約50名、出版社や関連会社約30社の協力のもと、総計約240点にも及ぶ原画などが並び、日本以外の国で催されるものとしては最大規模の漫画展となる。

 この展覧会のオープニングセレモニーに招待され、原稿も展示された『弟の夫』、また現在連載中の『僕らの色彩』などの作品で、ゲイと社会について描いたマンガを発表している漫画家の田亀源五郎先生に、帰国後の空港でお話を伺った。

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【田亀先生のロンドンでの道中は、以下のムービーをご覧ください!】

https://youtu.be/FpqNo45RkyI

大英博物館で自身の作品と

――帰国すぐでお疲れのところお時間を作っていただいてありがとうございます。さっそくですが、大英博物館での展示の印象はいかがでしたでしょうか?

「展示のボリュームがすごくて、見ごたえがありました。展示の仕方もスタイリッシュで綺麗でした。

 それと、マンガを日本文化全体の中の一つとして位置づけるようなキュレーションが見られたのは面白かったですね。会場に幕末から明治のころに活躍した画家・河鍋暁斎の引幕(舞台などで使用する幕)が目玉として展示されていたんですが、マンガという文脈で暁斎と結びつけるということは日本の感覚ではあまりないですよね。

 展示がテーマごとにグループ分けされているんですが、そのグループの組み合わせがユニークで、例えば『聖☆おにいさん』と手塚治虫さんの『ブッダ』が並んで展示されていたりとかするんです(笑)。

 中でも“思いもよらぬアドベンチャー”というグループでは、『ワンピース』と『ナルト』と『ゴルゴ13』が並べてあったりして、あまりマンガ好きからは出てこない発想なので面白かったです。なぜここに『ゴルゴ13』が、と思って(笑)。でも逆に新鮮で、日本の方が観ても面白いかもしれませんね」

――なるほど、それは面白いですね(笑)。以前から海外の展覧会に作品を提供なさっていますが、今回の大英博物館の展示ではどんな部分が違っていましたか?

「これまで美術館で展示されたときは、日本では賞を取った受賞展でしたし、海外ではマンガではなくエロティック・アートという文脈でした。今回は日本のマンガという視点でキュレーションされた展覧会なので、テーマごとに並べて展示したり、歴史をたどる展示であったり、もしくはマンガの読み方から始めるような展示なんかもあって、それは全く違いましたね」

――海外では個展を開催されたりもなさってますよね?

「そうですね。国としてはフランスが多くて、2年に一度のペースで定期的に行っています。他にもベルリンやニューヨーク、ロサンゼルスでも個展を開催しました」

世界中に多くのファンを持つ田亀先生

――日本のファンの方と海外のファンの方で反応に違いはあったりしますか?

「日本の方はシャイなので、あまりグイグイ来ないですが、海外の方はものすごく積極的ですね。自分も絵を描いているといって見せに来る方も多いですし、今回も自分で作った同人誌やスケッチなんかをプレゼントしてくださった方もいました。

 あとは私の絵のタトゥーを入れてる方が見せに来ることがあるんですが、いままでたくさん見ているので、すごく出来の良いものもあれば、『これはちょっと…』というものもあったりします(笑)。ただ、どの絵をピックアップしたかという部分は、いつも面白いですね」

 

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