それは作品のオーディションでも一緒で。1人のキャラクターを何十人、何百人という声優さんがオーディションを受けるんです。オーディションのスタジオに行く道中は、はぁ、なんかボーイッシュな感じが私にピッタリだし、ワンチャン受かっちゃうかもしれない……。これに受かってイベント出演したらなんてトークしようか、爆ヒットして大人気声優になっちゃうかも、なんて妄想しながら歩いたりして。まさに取らぬ狸の皮算用。スタジオに着くと他にも受けにきた声優さんが大勢。そこにはなんと、人気作品のヒロインをつとめるアノ方や、ツンデレを演じたら右に出るものはいないと世間で言われるようなレジェンド声優さんも……。誰もが知っているような方々もオーディションに参加しているんです。おい!こんなメンツがそろう中、私が受かる世界線なんてないだろ!と心の中で大きくつっこみ、さっきまでの皮算用を1人恥じる。そんな無理ゲー。

 ただ、問題はオーディションのときだけじゃなかったんです。作品がオンエアすると、あ~この人が受かったのか~。へえ~。そう……。……プツッ。

 ガッカリと悔しさで、アニメを素直に楽しめなくなってしまったんです。もういい。私には惣流・アスカ・ラングレーちゃんさえいれば、他はどうだっていいんだ……。どのチャンネルも自分が不合格だったアニメばかり。見とうない……。もうアニメなんて見とうない……。脱オタク待った無し。そんな日が続きました。

 ところが、ありがたいことに自分の出演作品が盛り上がったり、自分もオーディションに受かったり、指名で呼んでいただいたり。お仕事が充実して、少し自信がつくと人間てのは不思議なもので、心に余裕が出てくるんです。

 自分が出てるも出てないも受かったも落ちたも関係ない! アニメ、大好きだったじゃん! いまもステキな作品ばかりだよ! もったいない……! やっぱり、オタクしないなんてもったいないよ! しょうもないプライドは切り捨てて、オタクとして、素直にアニメを楽しもうよ……! 私、もう一度! オタクする!!!!

 そんな思いから、毎クールほぼ全てのアニメ第1話をチェックをする普通の“オタク”徳井になったのです。長くなりましたが、このコラムでは“オタク”徳井として、じっくり語れたらと思っています! よろしくね!

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