高岩成二さん(左)と僕
高岩成二さん(左)と僕

 どうも、しいはしジャスタウェイです。

 皆さん、あれからパン屋さん行きました? ビックリするぐらい今、三色パンってないんですね。けっこう探したんですけど、あっても二色パン。それだけ三色パンって、なかなか現れない存在なんだなと。まさに高岩さんそのものでした。

 前回のコラム「ミスター仮面ライダー・高岩成二は三色パン」を読んでない方には何のことか分からないと思いますが、スーツアクター界のレジェンド、高岩成二さんのお話です。いや“俳優”高岩成二さんのお話でした。

 高岩さんが数々の平成ライダーの主役を演じてきたすごい人だということは、前回お話ししましたが、実は高岩さんって、戦隊シリーズでも数々の作品で主役(レッド)を演じてきた人なんです。初の主役(レッド)が1994年の『忍者戦隊カクレンジャー』のレッド。当時25歳で若手。実はこれ、とんでもないことなんです!

 それまでスーパー戦隊のレッドは、こちらもまたレジェンドの新堀和男さんが演じられていました。なんと『バトルフィーバーJ』から『鳥人戦隊ジェットマン』まで14作品連続です。その新堀さんが現役を引退し、次の『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のレッドを、新堀さん直系弟子の前田浩さんが演じ、次の『五星戦隊ダイレンジャー』のレッドを、それまで敵役やブラックを演じていた大藤直樹さんが演じました。

 そして次の『忍者戦隊カクレンジャー』のレッドを、それまで後楽園でショーをやっていて、撮影の現場でレギュラーなんかやったことがない高岩さんが大抜擢されたんです。(※ジュウレンジャーでは追加戦士のドラゴンレンジャーに選ばれましたが、舞台と並行していたため、代役の方々が多く演じていたそうです。)

 長年の歴史の重みある真ん中の役に、しかも座長に、いきなり新人が入り込んだ訳です。フジテレビのお昼で『笑っていいとも!』でタモリさんが歴史を作り、次に現在『バイキング』で坂上忍さんが引き継いでおりますが、そのバイキングが終わったとしましょう。

 この次の後番組の司会が、テレビにほとんど出たこともない新人がいきなり司会だったらめちゃくちゃビックリすると思います。それと同じことなんです、コレ。

 しかもレッド以外の役は大先輩たちです。もし僕が、いきなり昼の帯番組司会に大抜擢されて、しかもノウハウもまったく分からないし、コメンテイターは大先輩だらけ。漏らして終わりです。その前に逃げ出すかもしれません。

 皆さんもそれぞれ場面は違うとは思いますが、とんでもない大事な場面に立たされたらどうです? 想像しただけでも胃が痛くなりますよね。けど高岩さんの凄いところは、そんな状況の中でも見事にレッドを演じきった。しかもそれだけでなく、今までのレッドの歴史を変えてしまったことなんです。

 戦隊といえば“名乗り”です。

 新堀さんの名乗りは正統派のカッコいいレッドでした。次の前田さんも新堀さんの意思を受け継ぐ正統派なカッコよさ。大藤さんの名乗りなんて絶品です。ちなみに僕は、戦隊で『五星戦隊ダイレンジャー』が1番好きで、名乗りもダイレンジャーが1番カッコいいと思っています。当時、小学6年生の僕は、ダイレンジャーのレッド・リュウレンジャーの中国武術をモチーフにした名乗りポーズを死ぬほど練習しました。それくらい惚れた名乗りです。そんなダイレンジャーが終わり、新番組のカクレンジャーが始まります。ワクワクしながら観るジャスタウェイ少年。遂に来ました名乗りのシーン!

「ニンジャレッド!サスケ!」

 その名乗りを見た瞬間、先ず最初に思ったのが「か、かっこわるい……」でした。リュウレンジャーのポーズがフリだとしたら、ニンジャレッドは見事なボケでした。ニンジャレッドのモチーフは猿飛佐助なので、名乗りポーズがまさにお猿さんの「ウキィーー!」ってやつなんです。本当にふざけてるのかなと思いました(笑)

 しかしコレが不思議なことに、日に日に忘れられなくなり、気付けば好きになってるんです。

 現在43作品ある戦隊のポーズを振り返ってもインパクトが抜群で、しかも簡単。子どもでもすぐ真似が出来るポーズなんです。今でこそライダーや戦隊も「そこやる!?」みたいな、デザインだったりネーミングだったりと変わったこととかはありますが、正統派なレッドの長い歴史を1話目からぶっ壊した瞬間でした。

 そこから高岩さんは、ブルーやメタルヒーロー、3作品連続でレッドを務めあげ、2001年に初めて仮面ライダーを演じることになります。それが「仮面ライダーアギト」。ここから高岩成二さんの新たな歴史が始まるわけです。