『仮面ライダーゼロワン』山本耕史「自分が父親になって初めて分かったこと」の画像
山本耕史(写真/弦巻勝)
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 僕は、赤ちゃんモデル時代を入れると、芸歴40年以上になります。そんな俳優生活を続ける中で、大きな転機となったのが、21歳のときに出演した舞台『RENT』でした。この作品に出演して、“自分ってこんなこともできるんだ”と、新たな発見があったんですね。

 この作品にはプライベートも含め、自分のすべてをぶつけました。舞台に立っている間は、どんどん自分の可能性を引き出していくような感覚でしたね。そして、僕の中で、「役者としてやるべきこと」が見つかった気がしたんです。

 それから7年間くらいは、ほとんど映像のお仕事はせず、舞台ばっかり。そこで“理想の演技”を追い求めていました。でも、それにはなかなか届かない、葛藤の日々でした。

 そんなとき、脚本家で演出家の三谷幸喜さんが、NHKの大河ドラマ『新選組!』に声をかけてくださったんです。三谷さんとは、舞台でご一緒したことがあったんですが、僕の葛藤していた姿を見ていてくださったようなんですね。そこで、僕の優しそうで真面目そうな見た目のイメージと、実際の僕自身とに、すごくギャップがあると気づかれた。そしてそれが“鬼の副長”と呼ばれた土方歳三にピッタリだと、オファーしてくださったんです。

 久々のドラマ出演となった『新選組!』では、僕も舞台でやっていた芝居を、そのまま映像にぶつけて表現できました。長い期間、演じた役でもありましたし、これも転機になった作品ですね。

 そして今回、初めて特撮作品に出演することになりました。『仮面ライダーゼロワン』という作品で、僕はゼロワンに変身する主人公・或人の父親・其雄を演じています。 

 其雄は人間ではなく、ヒューマギア(人工知能を搭載した人型ロボット)なんです。だから、血が騒ぐように怒るとか、フッと優しく心を解いて笑うとか、そんな感情表現はできない。ふだんよりも心の振り幅をキュッと細めて演じましたね。

 しかも今回の映画では、其雄は或人にとって父親ではあるけれども、味方なのか敵なのか、よく分からない存在。そういった意味での“距離感”も保てるように、心がけました。

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