とにかく孫悟空が即死!また即死!ファミコン版『ドラゴンボール』が傑作な理由【フジタのコラム】
ファミコン版『ドラゴンボール』7作(フジタ私物)
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 みなさんこんにちは。ファミコン芸人のフジタです。1月16日にPS4/Xbox One用タイトル『ドラゴンボールZ KAKAROT』が発売となりましたが、やはりドラゴンボールといえばファミコン初期の2作が鉄板です。

 ファミコンの第一作目は、1986年にバンダイから発売された『ドラゴンボール 神龍の謎』。これが死ぬほど難しいアクションゲームでした。ドラゴンボールの人気が最初に爆発した当時に発売されたコチラ。クリア不可能レベルの難易度や、原作とはまったく関係ないストーリー展開など、完成度はさておき、私の中では良作だと判断してます。

『ドラゴンボール 神龍の謎』より

 と言いますのも、時間をかけて100%の完成度を求めることよりも、作品の旬に間に合わせることを優先させたそのスピード感を評価したいんです。当時はファミコンカセットのリリース本数も少なく、その時代に大人気のドラゴンボールのソフトが出るということは、それだけで子どもたちに大きな衝撃を与えました。

『ドラゴンボール 神龍の謎』より

 完成までもう一年かけてクオリティが数倍上がっていたとしても、売れ行きはそこまではなかったと思います。アニメ『ドラゴンボール』が始まったのと同じ1986年に発売できたからこそ、100万本以上売りあげるモンスタータイトルとなったんです。

 オープニングからアニメ『ドラゴンボール』のオリジナル曲を使用していた点もすばらしい。ファミコン版『ドラえもん』や『忍者ハットリくん』などは、世界観にマッチしたBGMではあるものの、権利関係からなのか微妙なアレンジがされており、純粋なオリジナル曲を使用しておらず実に惜しかった。アーティストがライブなどで原曲と違うアレンジで歌うのと同じで、それはそれでいいけど……、という気持ちになります。

■カードバトルが画期的な『大魔王復活』

 そして、ファミコン2作目が1988年に発売された『ドラゴンボール 大魔王復活』!

 この2作目がまた衝撃的でした。まず前作のアクションゲームとは全く趣旨が変わり、ボードゲーム風にカードで進行。そしてバトルもカードで行う画期的なシステムを採用し、アドベンチャー要素も盛り込まれたRPGゲームになりました。

『ドラゴンボール 大魔王復活』より

 これは斬新で衝撃的でした。子どもながらに、こんな形でドラゴンボールをおもしろく表現できるんだなと。

 80年代、特に中期は『スーパーマリオ』が大人気だった時代です。とりあえずアクションゲームにしておけば、それなりに楽しんでもらえて、それなりに売れるという時代です。大きくハズさない、俗に言う「置きにいく」タイトルが多く、『聖飢魔II 悪魔の逆襲』(86年)、『所さんのまもるもせめるも』(87年)、『カケフくんのジャンプ天国 スピード地獄』(88年)、田代まさしのプリンセスがいっぱい』(89年)などなど、タレントものは勿論、キャラものその他「とりあえずアクション」。俗に言う「とりアク」は多かったです。

『ドラゴンボール 大魔王復活』より

 そんな中、この『大魔王復活』はジャンルから攻めていると言っても過言ではありません。グラフィックもキレイで、まさにドラゴンボールの世界。本作はピッコロ大魔王と悟空の戦いをメインにしていますが、この頃の漫画・アニメのドラゴンボールではまだ「死んだキャラを生き返せる」という概念はなく、悟空は勿論死なずに、負けたとしてもリベンジでは必ず勝つ。強くて絶対にやられない悟空! でした。

 ですが、このゲームでは一発で即死します!

 出だしからまずタンバリンに殺されてしまうんです。

 これはストーリー的に、絶対かなわない強敵と戦わなければならない『ファイナルファンタジーII』の出だし、4人の「くろきし」にやられてしまうのと同じ意味合いです。

ドラゴンボール 大魔王復活』より。カメハウスを出てすぐタンバリンに敗北。

 これは演出上、やむない死ではあるのですが、その後の悟空は戦う画すらもなく「はっちゃん」や「つるせんにん」に、選択肢で一行の文章のみで一発即死で殺されてしまう。また、かめはめ波を撃つと即死、如意棒を使うと即死、カリン塔など高いところから落下死、建物につぶされて即死、溺死、凍死、毒入りの食べ物で即死と、即死のオンパレードです。即死シーンの音楽も、ケムコさんの即死ゲー節に近い不穏な悲しい感じで、死にゲーの名作『シャドウゲイト』のように、ありとあらゆる死にパターンを考えたかとも思えるような即死っぷり。

『ドラゴンボール 大魔王復活』より。
『ドラゴンボール 大魔王復活』より。毒リンゴを食べると当然即死。
『ドラゴンボール 大魔王復活』より。道着一枚で外を歩くと即死。

 ファミコンのドラゴンボールは、その後の『ドラゴンボール3 悟空伝』や『ドラゴンボールZ 強襲サイヤ人』なども思い入れが強いのですが、僕の中では特に思い入れの強い、1作目2作目で、中でも「即死ゲー」のプロである僕なので、『大魔王復活』をフィーチャーさせていただきました。

 悟空の即死っぷりと、即死BGMのヒットコンボ、インパクト大です。

 アニメ系は権利関係が複雑ですが、この『大魔王復活』は、3DSのタイトルに収録されています。2018年に発売された『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ 週刊少年ジャンプ創刊50周年記念バージョン』はジャンプのアニメもの総収録で、ドラゴンボールは『ドラゴンボール 神龍の謎』、『ドラゴンボール3 悟空伝』、4作目の『ドラゴンボールZ 強襲サイヤ人』が収録されていたのですが、2作目にあたる、この『大魔王復活』は飛ばされてしまいました。

 僕は当時の理不尽ゲーで忍耐力を半ば強制的に鍛えさせられた世代です。そこまで望みませんが、セーブはしたい。ぜひ最新機でファミコンの『ドラゴンボール大魔王復活』をやってみたいものです。今までのコラムの中では、1番移植の可能性がありそうなアニメものタイトルでした。

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