■超能力開発に熱中した日々

 そんなわけで、遊び始めてすぐに『マインドシーカー』がどの店でも特価だった理由を、身をもって知ることになりました。

 ところが……です。「空腹は最大の調味料」と言いますが、遊びに飢えた10代男子が数人集まってこのゲームを遊ぶと、これがとんでもなく盛り上がる。

「当たったー!」「間違ったー!」「念力ムズイ!」「今のなんで当てられたの!?」「あと1回正解すれば~!」

 ミッションクリアに必要な正解数を達成するため、ありもしない超能力で一喜一憂。何かとツッコミどころの多いゲーム内容も含め、めちゃくちゃ楽しく遊べてしまったのです。

 さらに、いつの間にか仲間内で「コイツは透視が得意」「彼は念力が達者」といった奇妙な役割分担まで出来上がる始末。とくに連続正解をしてみせたヤツは、もはや神のような扱いでした。仲間内には誰一人として超能力者はいなかったはずなので、こういう“思いこみ”を生み出すあたりが、このタイトルの奥深さなのかもしれません。

 それでも、ずっと遊んでいると、やがてストイックすぎるゲーム性に行き詰まるようになりました。通常ならどんなに難しいゲームでも、やりこむうちにうまくなって先に進めるようになったりしますが、このゲームの場合、それが絶対にありません。

 なにしろ、このゲームにおける上達は、超能力が開花するということですから……。そうこうしているうちに、次第に我々の『マインドシーカー』熱は冷めていきました。

「念力」は念じながらボタンを押し、赤く光れば成功したということ
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