ソウルから南東へ約330km離れた慶尚北道の浦項(ポハン)市。1968年、POSCOという製鉄会社の創立をきっかけに、韓国有数の工業港湾都市として急成長を果たした。
近年ではドラマロケ地としても注目されている。
浦項市の東部には、虎のしっぽのように海に突き出た虎尾(ホミ)半島がある。その南海岸に位置する九龍浦(クリョンポ)は、2019年の韓国ドラマ『椿の花咲く頃』の撮影が行われた場所だ。
シングルマザーのドンベク(コン・ヒョジン)が、オンサンという港町に引っ越して居酒屋「カメリア」を開店する。ドラマはドンベクの美しさに心を奪われた熱血警官ヨンシク(カン・ハヌル)との恋愛模様だけでなく、女性天下の住民たちとのいざこざや連続殺人事件も盛り込まれた。まさに傑作のサスペンスヒューマンドラマだ。
■『椿の花咲く頃』のロケ地、浦項市の九龍浦
『椿の花咲く頃』の舞台となったオンサンは架空の港町。アジュンマ(おばさん)たちが、ワタリガニの醤油漬け(カンジャンケジャン)を出す食堂を経営している。一方、ロケ地の九龍浦は海岸近くから水深があり、遠浅な海に棲むワタリガニではなく深海に生息するズワイガニの水揚げ港として有名だ。
海岸沿いに並ぶ食堂の看板には、巨大なズワイガニのオブジェがずらりと並んでいる。ズワイガニは蒸して食べるのが一般的で、漁が解禁となる11月~3月にかけて、店頭の蒸し器から白い蒸気が立ちのぼり食欲をそそる。
