■龍神様の祟り!? 男女4人連続変死事件で封印された海岸に突撃(SIDE・A/2011年2月)

「ヒィィイィィイィーーーッ!」

 真っ暗闇の中、いい歳をした編集Sの悲鳴が響いた。ちょうど今から10年前、2011年2月末、午前2時頃のことだ。

 場所は房総半島・九十九里南部のH海岸。連続怪死事件が起きて以来、心霊現象の報告が相次ぎ、災いを恐れ地図上からもその名が抹消されたと噂される曰くつきの場所。

 まさにその事件現場で、突然フラフラと砂山に上がっていった途端、悲鳴をあげて凍り付いたS。ライトで照らすと、彼を取り囲むように無数の卒塔婆が立っていた──。

 そもそも、この心霊スポットの噂が囁かれ出したのは1982年(昭和57)のこと。1月に浜辺で焼け焦げた車のトランクから、女性の焼死体が発見され、4月にはすぐ目の前の県道脇で相次いで焼身自殺が起きた。しかも亡くなった男女3人全員が(注:一部では犠牲者は4人との報道も)44歳という奇妙な共通点があり、噂話に拍車をかけた。

 さらに事件直後から、H海岸のすぐ脇を走る通称・波乗り道路を行き交うサーファーやドライバーの間で、

「現場の横を走行中に車のルーフがバンバンッと叩かれ、後で見たら手形がビッシリついていた」

「深夜にH海岸の横を走っていたら道路脇に真っ黒なずぶ濡れの女が立っていた」

など奇怪な噂話が広がり、これが週刊誌に取り上げられるや、全国にH海岸の奇妙な噂は広まったのだった。

●連続事件の際にお祓いをした住職を直撃

 事件現場で肝を冷やした取材班は翌朝から、なかでも最も奇妙な噂について取材を進めた。曰く、連続怪死事件やその後の心霊現象は、現場近くの龍神様の鳥居を撤去しようとしたから。慌てて地元の有志が鳥居を立て替え、お祓いをして怪異が収まったのだそうだ。

 30年近く前の出来事なので難航するかと思いきや、取材は呆気なく進み、実際にお祓いをした住職から噂の真相を聞くことができた。

 住職によると、当時、お祓いをしたのは事実。ただ、鳥居を立て替えたのは、老朽化が激しかったのが理由で、龍神様の祟りなど迷信と一笑に付された。だが、住職の口からは別の気になる話が……。

「そもそもあの場所は“みょうみょう”と言って溺れる人が多くてね。それで龍神様を祀り、警告の意味で鳥居が建てられたんだよ」

 また、H海岸が地図上から消えたのも、事件後、車止めができて入れなくなったのと、そもそも“みょうみょう”があり危険なため、遊泳禁止になったのが理由だとわかった。

 何度も住職の口から出た「みょうみょう」という、奇妙な響きは気になったが、心霊スポット取材としては、なんとも尻切れトンボな結末だった。幽霊見たり枯れ尾花ではないが、奇妙な出来事を星座のように繋ぎ、私たちは心霊スポットを描き出してしまうのかもしれない。

 ただ取材班は、もうひとつ奇妙なことを発見した。H海岸の龍神の祠をはじめ、この町内には、海岸と並行するように「八大龍王」の名を冠した神社が点在していた。まるで海から来る“何か”から集落を守る結界のように──。