ラジオMCやアーティストとしても活躍中の人気声優・中島ヨシキが、「声優MEN」の企画としてさまざまなアート体験をする「中島ヨシキのART JOURNEY」。第1回は、国の重要文化財にも指定されている近代建築を訪問。その芸術的建築に、中島はどんな想いを馳せたのか。

 

大正時代の名建築を訪れる


中島ヨシキが訪れたのは、東京・池袋にある自由学園明日館。1921 年に着工、1925年竣工した大正時代の木造建築で、ジャーナリストだった羽仁吉一・もと子夫妻が学校として建設したもの。設計を務めたのは、アメリカ建築界の巨匠、フランク・ロイド・ライトと弟子の遠藤新。

 

明日館のホールや食堂は、幾何学模様に統一された意匠が特徴で、なかでも窓枠に施された幾何学模様は象徴的。実は、この建築物が学校として使用されたのはわずか 13 年ほど。太平洋戦争時は池袋西口が空襲で焼け野原となったが、明日館の周辺は被害がなく「奇跡」として語られている。1997 年には国の重要文化財に指定され、大規模な保存修理工事が行われた。現在は見学可能で、結婚式場などとして貸し出されているほか、ドラマや CM の撮影でも度々使用されている。


ヨウジヤマモトの衣裳を身にまとった中島は、この神秘的な建築物にシンクロするようにカメラ前に立つ。仕事柄、池袋にはよく来るため、明日館の存在は知っていたという中島。ずっと気になっていたそうで、今回初めて建物に入ったその感想を聞くと、「厳かな雰囲気が漂う写真になりそうです」といって背筋をピンと伸ばしながら、笑顔を見せた。彼の言う通り、写真撮影は静かな空気の中、小気味よくシャッター音が室内に鳴り響くだけ。そのシャッター音に合わせて中島も少しずつ表情を変えていく。レンズの奥を見つめたり、ときおりカメラの存在を忘れて、ノスタルジックな空気感に浸っていた。


明日館の副館長・福田竜氏の案内で、まず明日館の西教室側から外観を眺め、色に注目。「建物のクリーム色と、外観の窓枠の緑。色が少ない中でも調和が取れているし、コの字型の建物を、どこから切り取っても目に映える統一感を感じるようになっているんですね」。ライトが生み出したシンプルな色彩美と、それゆえの外観の風格に早くも魅せられたようだ。


 その後は、廊下を抜けて中央棟1階のホールへ。入口付近の天井が低いのだが、これはその先の吹き抜けの空間を広く感じさせるというライトの工夫だそう。実際に狭い空間を通ってホールに入ると、本当に開放的な感覚になり、中島はこれに驚いていた。まるで教会のステンドグラスのような配置のガラス窓。そこからの光に目を細めていた。大きなガラス窓を見つめる形で椅子に腰を掛けた中島。彼の目に入るのは、庭の奥にあった桜の木。明日館のシンボルツリーを見つめながら、「もうずっとここに居たいですね(笑)」と穏やかに微笑む中島だった。

 

厳かな歴史の重みを受けて、いつになく凛とした表情を見せたのが印象的だった。

「「中島ヨシキのART JOURNEY」最新回は10月発売の「声優MEN」にて!