「声優MEN vol.20」(双葉社)のアナザーカバーを飾った仲村宗悟が、見事に自身初となる待望のライブツアーを完走。バンドスタイルにこだわり、会場もライブハウスを選ぶといった仲村自身の想いが詰まった本ツアーのファイナル公演の模様をロングレポートでお届けします。

 

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仲村宗悟の初ライブツアーで見えた景色

 

SEが流れるとともに、青いライトでマイクやギターが照らされ、シンプルなステージが浮かびあがる。バンドメンバーが準備を始め、仲村はカラフルなジャケットスタイルで登場。インスト「feeling」からのポップな「僕なりのラブソング」で始まった本公演は、まさにアルバム「NATURAL」の世界観へ自然と誘う。「盛り上がっていきますよ!」と笑顔で叫ぶ仲村は、2階席まで満席の会場を見渡して満面の笑みを見せた。「Here comes The SUN」は、少しリズムがゆっくりめで、ギターメインのアレンジが効いている。爽やかなメロディに仲村の美声が重なり、まるで大空が目の前に広がるようだ。

 

2曲歌った後は、仲村と観客の対話のコーナーとなるMCへ。このご時世で声を出せない観客のために、仲村が考案したツアーグッズが「タンバリン」。仲村の声と、それに反応するタンバリンの鈴の音が、交互にかけ合う楽しいひとときとなった。ここで、10月から全国を回ってきた彼が「昨日の夜は初めて緊張して眠りが浅かった」と吐露。しかし、「今歌わせてもらったら、みんなが笑顔を見せてくれて、僕は最高に高まっています! ありがとうございます」と感謝の気持ちを述べると、会場からはより一層、大きな鈴の音が鳴り響いた。

手拍子で会場を盛り上げながら「カラフル」を披露した後は、客席に近づいてアイコンタクトをとりながら「あなたのこと」を楽しげに歌い上げる。4曲歌った時点ですでに汗だくの仲村は、2度目のMCで、自身が思う「言葉」について語りはじめた。「僕は言葉に思いを込めています。言葉について考えたとき、僕が発している言葉は、ほかの人が同じことを言っていても違った意味に聞こえてしまうことってあるでしょう。その無力感を知ったんです」。そんな切実な思いが込められた、自身による作詞作曲の「オブラート」は、序盤はアコギのみ、後半からは照明が明るくなるとともにピアノ、ギター、ベースと楽器が増え、音の重なりがどんどん膨らんでいく。そんな壮大な音の渦のなかで、仲村の葛藤するような心の叫びが会場中に響いていた。

 

エモーショナルな演出で会場中が感動に浸っていたその直後は、気分も一転しての「チョコレート」。この曲では、足下のステップをカメラが追いかけ、仲村に妖しげなエフェクトがかかるという配信ならではの演出も。そして、ステージは暗転し、光の雨のような美しいブルーの照明で「壊れた世界の秒針は」のイントロが流れると、場内もより一層熱気に包まれる。たたみかけるような音と光の雨に包まれながら気持ちよさそうに歌う仲村の表情が印象的だった。3度目のMC後は、仲村の生まれた年に出来たという「噂のエレキギター」を取り出して、気持ちよさそうにかき鳴らしながら「imitation」、「わかってちょうだいね」を立て続けに熱唱。ジャケットを脱ぎ捨てて真っ白いシャツ姿になった後は、楽曲「Oh No!!」へ。コロナ禍に生まれた超絶ファンキーソングで、「まだまだギアを上げるぜ!」と叫びながら、ひと暴れする仲村はとても楽しそう。そして仲村の楽曲の中でも最骨頂のポップソング「JUMP」は、ライブ仕様のアレンジで会場中のボルテージを上げ、場内を一体とさせた。

 

終盤のMCでは、仲村自身が本音を告白。「途中まで怖かったんです。役者をすることが怖かった。すごくクリエイティブなことをしているのにね(笑)。技術が足りなくても、いま自分自身が思いっきりの気持ちでやらないといろんな人に迷惑がかかってしまうんだよね」。仲村がそう言って歌い始めたのは、当時の苦い経験を経て初心を思う気持ちを込めて作ったという「ゆらゆら」。ストレートな言葉の数々を、仲村が切ない表情で真摯に歌い上げた。そして続けて、ポップなナンバーのアルバム表題曲「ナチュラル」へ。手拍子をしながら客席に語りかけるように歌い、会場中が一体になったところで本編が終了した。