世界中で絶大な支持を受けている音楽リズムゲームの劇場版『DEEMO サクラノオト -あなたの奏でた音が、今も響く-』の公開を記念し、「WEB声優MEN」ではリレーインタビューを展開中! 特集のトリを飾るのは、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の脚本や『BLOOD+』の監督などで知られ、本作では総監督として作品を支えた藤咲淳一だ。実は監督が最初に依頼されたのは、朗読劇で有名な劇作家・藤沢文翁の手による脚本のリライトだそう。そこからなぜ総監督を務めることになったのか、どのようにしてゲームをアニメーションとして構成していったのか、様々な話を伺った。(全3回)

 

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トータルでの経験を買われてのまとめ役 

 

(c)2021 Rayark Inc./「DEEMO THE MOVIE」製作委員会

――まず、藤咲監督が本作に携わることになった経緯と、総監督としてどんな役割を担われたのかを教えてください。

 

最初は総監督ではなく、脚本のリライトを頼まれたんですね。僕が入った時点で松下(周平)監督と脚本の藤沢文翁さんは先行して動いていたので、脚本は一旦出来ていたんですが、藤沢さんらしい脚本だったんです。

 

――藤沢文翁さんと言えば、独自の朗読劇を中心に活動されている方ですね。

 

この作品は、17歳のアリスの物語と幼いアリスの物語という二つのパートがありますが、初めに文翁さんが書かれていた脚本は17歳のアリスを中心にした話でした。音楽学校の先生でアリスの保護者でもあるバレンスキーが、アリスとの出会いや謎について語っていくという形で、朗読劇の様子が目に浮かぶような脚本だったんです。僕は藤沢さんともともと知り合いですから、一読して「これは文翁さんらしい脚本だな」と。でもアニメーションにするなら、やはり観客が感情移入する対象はアリスにしたほうがいいし、幼いアリスが“Deemo”の世界で出会うミライ、匂い袋、くるみ割り人形というキャラクターも、たくさん登場させたい。そういうわけでリライトする役目として入ったわけですが、コロナ禍という状況などもあって制作が停滞していたりしたので、誰か経験のある人が総監督として立ってほしいという話になりまして。

 

――そこで、監督がこれまでマルチに活躍されてきた経験を買われたわけですね。

 

ただ、もともと動いていた松下監督たちには作りたいフィルムの方向がありますし、製作側は売りたい方向があります。さらに原作のRayarkサイドが気にされることもわかるし……と、総監督という名前ではありますが、実際はその間に入って全員が納得できる良い形を探っていくような立場でした。でも「DEEMO」は世界中に愛好家の多いゲームですから、やっぱりこの作品を一番いい形で世に出してあげたいなという想いでやっていましたね。もちろん現実問題はありましたが、難しい状況の中でどうしたら一番いい形にできるか、みんなで考えて作ったという感じです。