荒川美穂インタビュー(3)「私にとってこの作品は“すべての始まり”です」/劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM』(『輪るピングドラム』)特集の画像
劇場版場面カットより(プリンチュペンギン/CV.上坂すみれ)

実はTVアニメ『輪るピングドラム』は、荒川美穂にとってデビュー作となった、記念すべき作品。「幾原邦彦監督のオリジナルアニメ」として当時も注目を浴び、そしていまなお熱狂的に支持されている本作を、彼女はどのように捉えているのだろうか。インタビュー特集の最終回となる今回は、10年ぶりに見つめた陽毬(ひまり)たちの姿から感じたこと、そして本作と出会ってくれた人々に向けてのメッセージを聞かせてもらった。(全3回)

 

※ ※ ※

 

「サンちゃんは庶民派だな~(笑)」

設定資料より ペンギン3号(サンちゃん/陽毬のペンギン)

――今回、10年ぶりに改めてキャラクターたちをご覧になって、ご自分の見方や感じ方に変化はありましたか。

 

改めて見返してみて、陽毬への冠ちゃん(冠葉/CV.木村昴)の愛がより伝わってきました。変な話なんですが、陽毬として見ていると、大切にされることがいつしか当たり前になってしまっていたんです。でも少し客観的に見れるようになってみると、「ああ、こんなにも愛情を注いでくれていたんだ。だからこそ陽毬も冠ちゃんを救いたいって思うんだろうな」と、印象が変わったように思います。

妹としてずっとそばにいましたが、そもそもの最初は、ほんのちょっとしたきっかけでしたよね。もちろんそれだけが理由ではありませんが、その小さな出来事から、こんなにも大きな愛を注いでくれたのかと思います。

 

――本当にそうですね。そういったシリアスなドラマが展開する傍らで、ペンギンたちがコミカルなやり取りを繰り広げていたのも、印象的でした。荒川さんがお好きなペンギンたちのシーンはありますか。

 

私が演じていたサンちゃん(ペンギン3号。陽毬と行動を共にしているペンギン)だと、陽毬が苹果ちゃん(CV.三宅麻理恵)と出会うシーンが好きですね。お魚をくわえて、陽毬に「いけません、拾い食いは!」と叱られてお魚を引っ張られても、「絶対離さない!」状態になっているところ。サンちゃんはいつも編み物をしたりして大人しいのに、あそこでは急に野性味が出るのがおもしろくて(笑)。

あと夏芽家に行くシーン。真砂子さん(CV.堀江由衣)と陽毬が対峙するところで、真砂子さんのペンギン・エスメラルダとサンちゃんも対峙しているんです。そこでエスメから格の違いを見せつけられてショックを受けるので、「サンちゃんは庶民派だな~」とかわいかったです(笑)。ペンギンたちはそれぞれ個性的で、みんなかわいいですよね。

 

――本当にかわいいです。ペンギンたちも気になるし、本筋のストーリーも追いたいしで、観るたびに「目が足りない!」と思います(笑)。

 

だから1回だと観きれないんですよね。本編に集中するとペンギンたちの動きを見逃してしまうので、何度も観たくなるんです。

 

――TVシリーズ全24話を何度も観るのは大変ですが、劇場版なら何度も繰り返し観やすいのが嬉しいです。

 

『ピングドラム』ファンの方からいただいたお手紙にも、公開前から既に「何回観に行こうかな」と書かれていて、やっぱり1回じゃ観きれないことをわかってらっしゃるんだなと思いました(笑)。新しいペンギンも出てきますしね!

 

――劇場版の新キャラクター、プリンチュペンギン(CV.上坂すみれ)ですね。これまで登場したペンギンたちと異なり、このペンギンは桃果(CV.豊崎愛生)と一緒にいるのに上坂さんが演じると知って、驚きました。

 

そうなんです。そこにはまた秘密があるんだと思います。

 

――ではその秘密は、後編までお楽しみに、ということでしょうか。

 

はい、ぜひ後編を観ていただけたらと思います!

 

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