神尾晋一郎と間宮丈裕(DJ'TEKINA//SOMETHING a.k.a ゆよゆっぺ)による純文学樂団・KATARI。神尾の朗読とも歌とも分かちがたい「言葉」と、異世界へ連れ出すかのような変幻自在な間宮の「音楽」。活動を開始してから一周年を迎える二人が魅せた、その集大成とも言える単独ライブ「KATARI独奏会-聖域-sanctuary-」の模様をレポート。

 

※ ※ ※

圧巻の「語り」に惹き込まれる

 

純文学樂団・KATARIは日本文学と電子音をベースに、詠手、編纂を担う神尾晋一郎と紡手、楽曲制作を務める間宮丈裕が織りなす、独自な世界観で人気を博すユニット。昨年は初の独奏会をはじめ、アルバム「KATARI第一集『開架』」をリリースするなど、躍進した彼ら。期待高まる中で訪れたのは神奈川芸術劇場ホールで、一歩会場に踏み入れるとほの暗い異空間にトリップするようだった。

 

まず、壇上の舞台にあるのは生成りのような繭。その繭が生んだ森のような舞台美術が広がっている。いざ始まるとそこから生まれ出たような金髪の神尾、そして赤髪の間宮がお揃いの白い衣裳に身を包み、現れた。始まったのは、芥川龍之介の『女 相聞 詩集』。今年に入りお披露目された新曲だ。 雌蜘蛛が其の獲物を捕らえるように、淡々と、それでいて着実に心を捉える言の葉と重低音であっという間に聴衆を巻き込む。そこから、太宰治の『HUMAN LOST・かくめい』、退廃的な告白を二人称で展開する坂口安吾『三十歳』へなだれ込んでいく。