映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』が公開中!アムロとドアンらの「戦争」が、観客に投げかける答えなき問い《作品解説》の画像
©創通・サンライズ

1979年に放送され、のちに伝説となったTVアニメ『機動戦士ガンダム』。その第15話を翻案した映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』が全国公開された。監督は、79年の『機動戦士ガンダム』でキャラクターデザイン・アニメーションディレクターを務めた安彦良和。今回は安彦監督の言葉とともに作品の注目ポイントをおさらいし、作品の魅力に迫る!

 

※ ※ ※

 

なぜ、TV版の第15話が再びフィーチャーされたのか

 

『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』場面写真

TVアニメ『機動戦士ガンダム』は1979年に放送され、以降、さまざまな形でシリーズが続くロボットアニメの金字塔だ。物語は、地球連邦軍とジオン軍との戦争が中心に描かれ、連邦軍の主人公アムロ・レイが戦いの中で成長していくといった内容だ。
同作にアニメーターとして参加した当時から、15話がずっと記憶の片隅にあったと語るのは、安彦良和監督。そのことをサンライズ(現バンダイナムコフィルムワークス)の先代社長と現社長に伝えたことから、映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』の企画が動き出した。

TVアニメでは一話完結のエピソードとなる第15話は、映画ではアムロたちホワイトベースのクルーが残敵掃討の任務を命じられ、「帰らずの島」と呼ばれる孤島を捜索するところから始まる。そこで出会ったのは一機のザク。ガンダムに乗り、交戦するアムロ。しかしザクに圧倒され、アムロはガンダムを失ってしまう。目が覚めると、そこではククルス・ドアンというジオン軍の元兵士と20人もの戦災孤児たちが暮らしていた…。

 

『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』場面写真

安彦監督は本作についての想いを以下のように語る。

「よく言われる『愛するものを守る』といった絶対正義のテーマに対して、『本当にそうですか?』と疑問を投げかけている。第15話の脚本を手掛けられた荒木(芳久)さんがどういう意識でお書きになったのか分からないけど、非常に大きなテーマを秘めたエピソードだと思います」

 

ガンダムとザクの攻防を大迫力で描く!

 

『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』場面写真

ガンダムシリーズの大きな見どころと言えば、モビルスーツと呼ばれるロボット同士の戦闘シーン。今回のモビルスーツ戦を、安彦監督はこう語る。

「アムロも制約の多い状況下に置かれることになりますからね。その限られた登場シーンでいかにガンダムをガンダムらしく見せられるか。最近は宇宙空間で光モノが派手に飛び交うような戦闘が多いと思うんだけども、今回はローテクっぽく、まさに大地に立って戦う作品になっています」

 

メカニカルへのこだわり!あのレジェンドも参加

 

『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』場面写真

アムロのガンダムと、宿命の関係となるドアンのザクのメカニカルデザインを担当したのは、数々のガンダムシリーズに参加するカトキハジメ。TVアニメの第15話とこの映画版を見比べれば、なるほどと膝を打つしかない意匠で、カトキが作り上げたドアン専用ザクは必見だ。
また、本作では安彦監督からの直接オファーで、『機動戦士ガンダム』でメカニカルデザインを務めた大河原邦男も参加。作中でも重要な役割を担う、高機動型ザクを新規設定でデザイン。アニメーションのレジェンド二人の共作にも注目したい。

 

『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』場面写真

戦闘場面で特筆すべきなのはモビルスーツの醸し出す重量感。どっしりしたモビルスーツの重さで大地が揺れる場面などを、リアリティたっぷりに表現している。また子どもの視点から見たモビルスーツを随所に入れ込むなど、あくまでモビルスーツが兵器であることを如実に感じられる一作だ。

 

永久に答えが見つからない問い

 

『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』場面写真

安彦監督は、これまでにマンガ家としても数々の作品で、実際の歴史や戦争をもとにフィクションを描いてきた。その中で度々描かれるのは、戦争の虚しさとそこに生きる人間たちの愚かさとたくましさだ。

『ガンダム』に登場するキャラクターたちは、アムロなどほぼ10代。それゆえに安彦監督は彼らを「小さき者達」と呼び、そのうえで、カーラやマルコスというドアンと暮らす戦災孤児のキャラクターを「さらに小さき者達」であると述べる。そして彼ら戦災孤児たちが大きな変化の中にどう立ち向かうのかが、この作品を映画として作る理由なのだと続ける。

 

『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』場面写真

こうした子どもたちの存在を「戦争の犠牲者」として描くわけではないのも安彦流。彼らは時にザクをヒーローにし、時にはガンダムに対して石を投げつけるのだ。そして、本作では彼らの生活ぶりを、丹念かつ表情豊かにフィルムに刻みつけてもいる。そこにあるのは「答えの見つからない問い」だと監督は話す。本作のクライマックスで、ある行動をアムロが行う。その行動はアムロとドアンを、「味方・敵」ではない関係に変えたのではないだろうか。

「最初の話しに戻りますけれど、ラストはファーストガンダムのテーマをさらに突き詰めたような話しなわけでね。『戦いとは? 愛するものを力で守るとは何なのか?』。根源的な問いかけでもある。これは多分、永久に答えの見つからない問いですけどね」

本作を自身が関わる「最後のガンダム」と話す、安彦監督。物語に秘められた戦争へのメッセージを、ぜひ映画館で体感してほしい。

 

「WEB声優MEN」クリエイターインタビューはこちら。

 

<作品情報>

『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』

6月3日(金)より全国公開中
Dolby Cinema™/ 4D同時上映

 

1979年に放送された日本ロボットアニメの金字塔にして、ガンダムの原点『機動戦士ガンダム』の第15話「ククルス・ドアンの島」。
ガンダムとアムロの物語が、劇場版3部作でも描かれることのなかった伝説のエピソードと共に『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙』の劇場公開からおよそ40年の時を経て、待望の映画化が決定! ガンダムファンにお馴染みのホワイトベースの仲間たちやモビルスーツが登場。壮大なスケールでよみがえるRX-78-02ガンダムとアムロの物語が最新のアニメーションで描かれる大迫力なモビルスーツ戦と共にスクリーンに舞い戻る!

 

 

 

【スタッフ】

企画・制作:サンライズ

原作:矢立肇 富野由悠季

監督:安彦良和

副監督:イム ガヒ

脚本: 根元歳三

キャラクターデザイン:安彦良和 田村 篤 ことぶきつかさ

メカニカルデザイン:大河原邦男 カトキハジメ 山根公利

総作画監督: 田村 篤/美術監督:金子雄司/色彩設計:安部なぎさ/撮影監督:葛山剛士 飯島亮/3D演出:森田修平/3Dディレクター:安部保仁/編集:新居和弘/音響監督:藤野貞義

音楽:服部隆之

製作:バンダイナムコフィルムワークス

主題歌:森口博子「Ubugoe」(キングレコード)

【キャスト】

アムロ・レイ:古谷 徹/ククルス・ドアン:武内駿輔/ブライト・ノア:成田 剣/カイ・シデン:古川登志夫/セイラ・マス:潘めぐみ/ハヤト・コバヤシ:中西英樹/スレッガー・ロウ:池添朋文/ミライ・ヤシマ:新井里美/フラウ・ボゥ:福圓美里/エグバ・アトラー:宮内敦士/ウォルド・レン:上田燿司/ユン・サンホ:遊佐浩二/セルマ・リーベンス:伊藤静/ダナン・ラシカ:林勇/マルコス:内田雄馬/カーラ:廣原ふう

 

【公式サイト】https://g-doan.net/

【公式Twitter】@g_cucuruzdoan

 

©創通・サンライズ