八代拓が『刀剣乱舞-花丸-』で演じる豊前江(ぶぜんごう)は、同じ刀工の手による刀剣男士たちに慕われている、爽やかな兄貴肌の青年。彼の人柄を「尊敬する」と語る八代に「会ってみたい歴史上の人物」を尋ねたところ、なんと「宮沢賢治」という回答! しかしその理由からは、豊前江に負けず劣らず魅力的な八代の人柄が浮かび上がってきた。八代拓という人間の魅力に触れる、インタビュー最終回。(全3回)

 

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大人になって改めて読んだ「雨ニモマケズ」

 

――『刀剣乱舞』では、歴史に登場する刀剣たちが刀剣男士として顕現して戦いますが、八代さんは歴史がお好きなほうですか。

 

実は僕、学生の頃は正直、歴史が苦手で……(苦笑)。「なんで知らない人が生きていた時代のことや、そこで起こったことを、現代の僕が覚えなきゃいけないんだろう」という浅はかな考えだったんですよね。でも、歴史を題材にした作品に触れてきたこともあって、今では歴史の尊さみたいなものをとても感じるようになりました。今はこんなにビルが建っていて、たくさんの車が走っているけれど、時代をさかのぼっただけでそのビルが全部木造になったり、馬が走っていたり、戦いが行われていたり、何なら陸地ですらなく海だったりもしますよね。そう頭ではわかっていて、想像はできるけど、実感するところまではなかなか持っていけないじゃないですか。この不思議さと尊さみたいなものを強く感じるので、今は歴史がすごく好きです。

 

――歳を重ねるにしたがって、興味が湧いてきたんですね。

 

きっと想像力が養われたのかなと思います。だってすごいことですよね。「ここに遺跡があった」とか「刀で斬り合っていた」とか。本気で想像しようとしても、実感するところまではギリギリいけなくて、「……でもあったんだよね」と思うと本当に不思議だなって。

 

――歴史上の人物で会ってみたい人物はいますか。

 

強いてひとり挙げるなら、時代がちょっと新しいかもしれませんが、宮沢賢治さん。地元が岩手なんですよ、僕。彼の「雨ニモマケズ」という有名な詩がありますが、岩手県民ならほとんどの人が子どもの頃に触れている、身近なものなんです。それを声優になってから朗読させていただく機会があったんですが、大人になってから改めて読むと、ものすごくいい詩だなと。人として、大人として、どうあるべきか。どう生きていたいか。それがよく現れていて、しかもとてもいいバランスなんですよね。へりくだりすぎず、でも行きすぎず。どんな考え方でどんな生き方をしたら、こんな人間が形成されるんだろうという純粋な興味があります。

 

――宮沢賢治の作品には、同郷の方にしかわからない訛りのニュアンスなどもあるのかなと思いますが、いかがですか。

 

そうですね、もしかしたら同郷ならではのリズム感などもあるのかもしれません。あと思うのは、宮沢さんの作品には雪が出てくることがありますよね。あの雪が表現する切なさや強さは、雪が降る地域ならではの表現なのかなと思ったりもします。