『ぼくらのよあけ』朴璐美×黒川智之監督
『ぼくらのよあけ』朴璐美×黒川智之監督

今井哲也のSFジュブナイル漫画を原作とするアニメーション映画『ぼくらのよあけ』が現在公開中。本作で、宇宙好きな小学4年生・悠真(CV.杉咲花)やAIのナナコ(CV.悠木碧)たちと出会う、遠い星からやってきた人工知能「二月の黎明号」を演じたのが、数々の代表作を持つ名優・朴璐美だ。

本作の黒川智之監督との対談第1回では本作との出会いを訊いたが、第2回となる今回はお互いの印象や魅力を質問。表現者・朴璐美の魅力について、彼女の舞台も数多く観ているという黒川監督が、じっくりと語ってくれた。若き日の監督が「朴璐美、恐るべし!」と唸らされたという、15年前の思い出深いエピソードとは?(全3回)


対談第1回はこちら

 

※ ※ ※

 

【関連記事】悠木碧「AIとしてではなく、自己実現に迷う少女として」演じた『ぼくらのよあけ』ナナコ役への想い

 

「朴さんに最終話の最後の一言を丸投げしたんです」

©今井哲也・講談社/2022「ぼくらのよあけ」製作委員会
©今井哲也・講談社/2022「ぼくらのよあけ」製作委員会

――黒川監督と朴さんは15年前の『MURDER PRINCESS』で初タッグを組まれて以来のご縁ということですが、監督からご覧になって、役者・朴璐美さんの魅力というのはどんなところでしょうか。

 

黒川智之監督(以下、黒川監督) 収録した2006年当時、僕はまだ28か29くらい。当然朴さんはアニメに限らず活躍されている大スターだったので、主役をやっていただけるというだけで大喜びした記憶があります。ただ、当時の僕が勝手に抱いていたイメージなんですが、『MURDER PRINCESS』はOVAで規模としては小さい作品だったので、朴璐美さんのようなお忙しい大スターだと、お仕事として割り切ってやられるのかなと思ってたんですよ。

 

朴 璐美(以下、朴) 私が!?

 

黒川監督 僕の勝手な妄想ですよ! でも現場でご一緒させていただいたら、まったくそんなことはなくて、その役に対するストイックさは今も変わらないなと思いますね。朴さん、僕が『MURDER PRINCESS』の最終話でアドリブを無茶振りしたのって覚えてます?

 

 いろいろ無茶振りされたから、もはや「どれのこと!?」って感じです(笑)。

 

黒川監督 (笑)。最終話で、朴さんが演じるキャラクターが仲間とお別れするシーンがあって、最後のお別れの一言を朴さんに丸投げしたんです。もちろんシナリオにはセリフがあったんですが、絵コンテを描いているときに、「これを監督やシナリオライターが決めていいのかな」という想いがあって。朴さんはキャラクターに真摯に向き合ってくださる方なので、一番この役を理解しているのは演じている朴さんだろうということで、台本を空欄にしてお渡ししたんです。

 

 ……なんか今、思い出してきました。

 

 

  1. 1
  2. 2