ヨハン・クライフ
ヨハン・クライフ 写真:AP/アフロ

 2020年、コロナウイルスの世界的な流行に見舞われたヨーロッパ。

 プレミアリーグもセリエAも試合を中止し、リーガエスパニョーラは中断期間の無期限の延期を発表した。

 バルセロナもクラブの全活動停止を早々と発表したが、この未曾有の事態が発生する以前から、チームには異変の兆候があったという。

 近年、バルセロナが完全にタイトルに見放されているわけではない。だが地元メディアとバルセロニスタ(バルセロナファン)が盛んに論じているのは、「なぜチャンピオンズリーグで優勝できないのか」という点だ。 バルセロナが最後にビッグイヤーを掲げたのは2015年だ。しかしながら、それ以降、欧州王者の称号から遠ざかっている。
 
 いったい、何が起きているのか――。世界屈指の人気チームの光と影を追う。

 

「N」の喪失

 リオネル・メッシルイス・スアレスネイマールは破壊的な攻撃力で欧州中の脅威になった。2014-15シーズン、2015-16シーズン、2016-17シーズン、「MSN」と称された3トップは毎シーズン100得点以上を挙げ、合計で公式戦363得点を記録した。

 「N」の喪失ーー。それは「裏切り者」「守銭奴」といったネイマールに対する批判、つまりバルセロニスタ(バルセロナファン)の心理的なショックを引き起こしただけではなかった。クラブに経済的な打撃を与えたのだ。

 フィリペ・コウチーニョ(1億6000万ユーロ)、ウスマン・デンベレ(1億2500万ユーロ)、ジェラール・デウロフェウ(1200万ユーロ)、マウコム(4100万ユーロ)、ケヴィン=プリンス・ボアテング(100万ユーロ)、アントワーヌ・グリーズマン(1億2000万ユーロ)、マーティン・ブライスワイト(1800万ユーロ)...。ネイマール代役のための獲得資金は、ボーナス含めおよそ4億6200万ユーロ(約554億円)に上る。

 とりわけ、獲得に巨額の資金が投じられたのがデンベレ、コウチーニョ、グリーズマンである。デンベレが負傷離脱を繰り返す一方で、コウチーニョについては適応に問題があると判断されて獲得から僅か1年半でバイエルン・ミュンヘンにレンタル放出された。

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