Jリーグ村井満×木之本興三対談 第5回/全12回(アーカイブ記事『サッカー批評過去記事75』より)の画像
村井満(後)、木之本興三 写真/渡辺航滋

(この記事は2015年6月29日に発行された『サッカー批評75』(双葉社)に掲載されたものです)

※この対談は2015年3月24日に行われました。
データならびに個人のインプレッションは3月24日時点のものであることをご了承ください。
インタビュー・文◎六川亨 Toru Rokukawa 
撮影◎渡辺航滋 Koji Watanabe

2014年に第5代Jリーグチェアマンとなった村井満氏とJリーグ創設に尽力した木之本興三氏。現在のJリーグを語る上で欠かせない両名の対談第2回。今回は「アジアの中のJリーグ」という立ち位置について。また、日本サッカーリーグ(JSL)誕生50年という節目から見た現在位置についても思いをかわしてもらった。

海外への視点を持つ

――前回、「Jリーグは様々な施策の中から将来のための資金作りをしている」というお話が出て、中でも育成に対する投資の重要性という話が出ました。具体的にはどういったものなのですか。

村井 Jリーグが将来的に発展していけるかどうか、は魅力的なフットボールが永続的にできるかどうか、に尽きます。「4つの約束」(注1)も、お客様を裏切らないサッカー、つまり魅力的なフットボールをやろうという目的で作りました。今の海外へ選手が次々と挑戦している状況は、それだけ日本のサッカーが世界に認められつつあるということで、日本サッカーにとってもJリーグにとっても喜ばしいことなんです。さらにJリーグでも魅力的なフットボールを継続して担保するためには、新たな人材を育成する必要があります。大会方式の改革も突き詰めればそれを実現する施策の一つです。育成はJFAとの共通課題です。そこで、JFAからも上限5億円くらいの規模の資金を捻出いただいています。Jリーグ全体で各クラブは70億円くらいを育成に投じています。ですが有効に活用されているのかどうか、検証が十分にされていない。そこで一策としてベルギーの「フットパス」(注2)という、クラブの育成を客観的な評価軸で評価し、格付けするような仕組みの導入が決議されました。メキシコは育成年代からトップに上がるまで100試合近くにも及ぶ国際経験を積み、若年層から海外と互角に戦う。そうした例に学び、日本でもメンタルや戦う姿勢を含めて環境適応を教えていくためにも若年層のための国際大会の機会を作らないといけない。そういった投資への資金ということです。

  1. 1
  2. 2