田嶋幸三
田嶋幸三 写真:アフロ

インタビュー・文◎六川亨 Toru Rokukawa 

(この記事は2016年4月28日に発行された『サッカー批評80』(双葉社)に掲載されたものです)

第14代の日本サッカー協会会長は、歴史的な「スポーツ界初の選挙」によって選ばれた。
選挙活動を通して掲げたマニフェストに込めた日本サッカー改革への思いとは。
FIFA理事を務める田嶋幸三会長の、世界からグラスルーツまで見渡した言葉に日本サッカーの未来が透けて見える。

止める、蹴るの「世界基準」

「育成日本の復活です。これにブレはないし、変わりはありません」

 今年1月、スポーツ界にとって初となる選挙で第14代の日本サッカー協会(JFA)会長に選出された田嶋幸三氏。50代という若さでの会長就任は初めてのことでもある。その田嶋会長に、マニフェスト(公約)で掲げたテーマのうち最優先事項は何か聞いたところ、即座に返って来たのが冒頭の答えだ。そして同氏は次のように続けた。

「U -20日本代表は2009年以来4大会連続して本大会に出られていません。U -17日本代表も昨年は5大会ぶりに出場権を逃しました。そして今は本田( 圭佑)や香川( 真司)、長友(佑都)に続く、主力選手として活躍できる選手がヨーロッパに行っていない。そういう現状を考えると、今はまず、将来の代表をどうするかということを真剣に考えないといけないと思っています」

 以下は田嶋会長との一問一答によるインタビューである。


――育成日本の復活ために具体的な方策はあるのですか。

「代表チームには海外での経験を積ませたいと思っています。これについては西野朗技術委員長も、『世界基準にならないとダメだ』と言っていました。Jリーグも含めてユースの育成を世界基準にしていくよう、西野技術委員長を全面的にバックアップしていきます」

――しかし育成には時間もかかります。

「時間がかかるからこそ、すぐに始めなければいけません。U -20日本代表は4大会連続してW杯に出られないという残念な結果が出ている。だったらすぐにやらないと。例え今やっても結果が出るまでは時間を要するでしょうから。ただ西野技術委員長自身も、『自分はJリーグで戦ってきたけれども、世界はどうなっているか、を見ないといけない』と仰っているので、まずは世界を見に行っていただきます」

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