2011年のFIFA女子W杯で初優勝したなでしこジャパン  写真:ロイター/アフロ
2011年のFIFA女子W杯で初優勝したなでしこジャパン  写真:ロイター/アフロ
東京オリンピックは1年延期となり、さらに、U-24による大会になることが決まった。このことは、日本代表の、さらに各国の代表チーム作りにどのように影響するのだろう。日本のメダルの可能性は? さらに、「なでしこ」は再び栄冠に輝くのか。

メダル獲得の可能性

「海外のクラブで活躍する選手を全員招集できるかどうか?」

 これが、今ではオリンピック代表のチーム作りにおいてきわめて重要なファクターとなる。オリンピックの際に招集できるように交渉を進めること。これこそが、最近反町康治(北京オリンピック代表監督)が委員長に就任し、関塚隆前委員長がナショナルチームダイレクターとなった協会技術委員会の最大の仕事だ。

 延期された2021年の東京オリンピックは、ヨーロッパでの新シーズン(2021/22シーズン)の開幕直前の開催となるが、これは東京オリンピックが予定通り2020年に開催されていたとしても同じことだった。

 ただ、2020年には23歳以下だった選手は2021年になれば24歳になっている。その分成長を遂げた選手たちは、それぞれのクラブでより重要度を増しているはずだ(そうでなかったら、困ったことだ)。そのため、招集が難しくなる可能性もあるのだ。クラブとしては重要な戦力である選手を新シーズン開幕直前に抜かれるのは望ましいことではない。オリンピックに出場し、酷暑の中で(決勝まで行けば)6試合を戦えば、当然消耗した状態で戻ってくるわけで、開幕時に起用できなくなる可能性も高くなる。

 その分、日本協会と各クラブとの交渉はより難しくなるのではないか。

 この問題さえクリアできれば、2021年のオリンピック代表は2020年の代表よりも強力になっているのは間違いないのだろうが……。

 こうした条件は、東京オリンピックに参加する他の国々にとっても同じことだ。ヨーロッパや南米の強豪もU-23ではなくU-24代表が出場するのである。1年の間に選手たちが成長するのは、こうした強豪国にとっても同じである。

 ただし、強豪国の場合でも24歳以下ながらA代表でプレーする選手は多くなるだろう。はっきり言えば、24歳にもなってA代表に入れないような選手は一流とは言えない。そして、2021年の夏、ヨーロッパのA代表はやはり1年延期になった欧州選手権(EURO)を戦うことになっているのだ。オリンピック出場資格を持っている選手であっても、A代表に選ばれるような選手は当然EUROに出場するので、オリンピックに参加することはできない。

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