『グローボ・エスポルチ』
『グローボ・エスポルチ』

 試合が行われていない現状で、世界のサッカーメディアは何を報じているのか。

 いわずとしれたサッカー大国のブラジル。同国のメディアでも、やはり目立つのはコロナ関連の記事。変わったところでは、

「サッカーなし、隔離の中で―――COVID-19に立ち向かうべくポルトゲーザが“想像試合”を発表」

 という記事を4月16日の『グローボ・エスポルチ』が報じている。

ポルトゲーザはブラジルセリエA2のクラブだが、活動できないクラブへの支援企画として、4月25日に “想像試合=jogo imaginario”を開催することを発表。スタジアムは閉鎖されたままだが、実況と解説者の2人だけで想像上のゲームを実況する、という形だ。チケットは4月16日からインターネット上で販売され、1枚5レアル(約100円)で、何枚でも購入できる。収益の半分はキリスト教系の団体に寄付され、路上生活者への食料や衣料品の支援に充てられるという。

 コロナ関連の記事が多いのはもちろんだが、玄人好みのテクニカルな記事も多い。

 4月18日の『グローボ・エスポルチ』では、

「フレッジのボレーシュートがアハスカエタのバイシクルシュートを抑え、ブラジルのクラブで最も美しいゴールに選出」

という見出しで、国内クラブチームのベストゴールを特集している。

 これは、全18クラブからそれぞれ10のベストゴール候補を選出し、選手自身の人気やゴールそのものの重要度を排除して、プレーそのものを評価対象としてアンケートを実施し、ランキングしたもの。「プレーそのもの」というフォーカスの仕方が、ブラジルらしい。

 12日間で6万3039票を集めたアンケートの結果、1位に輝いたのは、2012年のブラジル全国選手権第27節、フルミネンセ対フラメンゴで、当時フルミネンセ所属だった元ブラジル代表フレッジが決めたボレーシュート。得票数1万226票(16.23%)を獲得した。2位はフラメンゴのアハスカエタ(2019年ブラジル全国選手権、フラメンゴ対セアラ。8613票/13.66%)のバイシクルシュートだった。

 8年前のゴールが1位となったフレッジはこの年、得点王に輝く活躍を見せ、2014年に母国で行われたワールドカップでブラジル代表に選出されている。ネイマールを擁し、優勝候補とされていたブラジル代表だったが、準決勝でドイツに1-7という歴史的大敗を喫した。この “ミネイロンの悲劇”と呼ばれた試合にもフレッジは先発出場し、それを最後に代表を引退している。

 サッカーなしでは生きていけない。そんなファンのために、メディアは日々ニュースを提供し続けている。