思考実験・Jリーグ「秋春制」でのシーズン再開の画像
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 安倍晋三首相は5月4日、首相官邸で記者会見を開き、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を31日まで延長する、と表明した。学校の一斉休校もまだ続き、9月入学論まで取りざたされている。われわれも、Jリーグの秋開幕を真剣に検討するときがきたのではないだろうか。

■「秋春制」が浮上した理由

 新型コロナウイルス(Covid-19)の感染は、いまだに収束の見通しが立っていない。5月4日に出された政府の緊急事態宣言は5月末までが期限となっていて、この間に開催が予定されていた大相撲5月場所の中止も発表された。

 それに伴って、取り沙汰されているのが「9月入学」問題だ。

 現在、日本ではほとんどすべての学校が新型コロナウイルス感染対策として休校を余儀なくされており、もし休校が緊急事態宣言の期限である5月31日まで続くとすれば、3月上旬に始まった休校は3カ月にもわたることとなる。この間、実施できなかった授業を行うために、今のところ土曜日にも授業を行ったり、夏休み期間を短縮したりすることが検討されているという。

 だが、3カ月もの長期の休校の後で一気に授業数を増やしたり、夏の猛暑の中で詰め込み教育を行ったりすることによって学生・生徒の身体的、心理的負担が大きくなりすぎるという懸念もある。

 そこで出てきたのが「9月入学」論である。

 日本の学校制度は4月に新学期が始まって3月が終業となっているが、これを「9月入学」とすることによって授業再開後も、ゆとりを持ったスケジュールで新学年を過ごすことができるのというのだ。安倍晋三首相も国会の質疑の中で「選択肢に入る」と答弁しており、さまざまなレベルで議論が起こっている。

 この「9月入学」というのは、新型コロナウイルの出現とはまったく関係なく、これまでにも何度か提案がなされてきた問題だ。東京大学が「9月入学」を正式に提案をしたこともある。歴史を紐解けば、そもそも、日本でも明治時代には「9月入学」だった時期も長かった。

「9月入学」推進論者によれば、欧米など世界の多くの国々では学校が「9月入学」となっているので、日本も国際標準に合わすことができれば日本人学生が海外に留学する際も、また外国人入学生を日本に受け入れる際も障壁が少なくなる。それが最大のメリットだという。

 ただし、一方で日本の会計年度は4月から翌年3月までであり、日本の企業の多くも4月から3月を年度としているので、これとの調整をどうするかなど解決すべき課題は大きく、これまで「9月入学」は実現してこなかった。

 さて、今年のJ1リーグは2月下旬に開幕したものの、第2節以降は延期となったまま時間が経過している。当初は無観客開催を否定し、通常開催の方法を模索していたJリーグだったが、「再開」時期が後ろ倒しになったため、今では無観客での再開を目指している。ただ、5月末まで緊急事態宣言が継続されるとすれば、その直後に活動(トレーニング)が再開されたとしても、試合の実施は最短でも6月末ということになってしまい、今後のスケジュール作りは難航が予想される。

 6月末から7月に再開された場合、7月、8月の酷暑の時期に強行日程が組まれる可能性が大きい。猛暑の中で連戦となると、当然パフォーマンスの低下が予想されるし、ただでさえコンディション不足の選手たちの健康も心配になってくる(FIFAは、特例として5人交代を認めるとしているが……)。

 それなら、サッカー界も『9月入学』と同じような考え方ができないのだろうか? つまり、僕はここで「秋春制」の検討を提言したい。

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