J1レビュー7 /11「川崎Fー柏」家長2得点も川崎Fの問題は後半の“オフザボール”の画像
サッカー批評

■J1リーグ第4節  川崎フロンターレ3―1柏レイソル
7月11日(土)|19:00|等々力陸上競技場

 

 久しぶりに等々力競技場で声援を送ったサポーターに、最高のプレゼントを届けた!

 再開後最初の3連戦を2連勝で迎えたホーム戦、川崎は3-1のスコアで柏を下したのだ。

 序盤から徹底的にボールを動かして攻め立てたこのホームチームは、前半だけで2得点。家長がCKで相手選手が処理しきれなかったボールを頭で流し込んで先制すれば、直後、利き足ではない右足で相手DFの股下を抜いて豪快に決めた。ボール支配率は60%を超え、放ったシュートは7本。対する柏には、シュートを1本も撃たせることもなかった。

 縦パスが面白いように入り、さらに、局地的にワンタッチパスを重ねて相手の包囲をなんなく抜ければ、長谷川や脇坂を中心に個人技を要所に混ぜてチャンスを創出。崩し切る、という意味では回数と深さでもう少し追及したい部分もあったが、異例の連戦の3戦目であったり、ゲーム支配状況を考えれば、リスクや力を投入する必要もなかったかもしれない。

 ただし、後半に問題は見られた。ダミアンが3点目となるダメ押しゴールを決めてから、前半の攻撃的で技術的なチームとは違うチームに変わったようになってしまい、後半10分には柏・呉屋にゴールを許してしまう。その後もボールがつながらなくなるようになってしまい、チームスタイルであるボール支配の点で相手に譲ってしまうようになってしまった。

 もちろん、どんな強豪といえど90分間ゲームとボールを支配することは容易ではない。ましてや、疲労が溜まりやすい状況での試合である。とはいえ、川崎が時折見せる“勝ち切れなさ”の片りんをそこに感じざるを得なかった。川崎は優勝を狙うクラブであり、Jでも屈指の創造的なサッカーを具現化できるチームである。だからこそ、そこまで追求してほしいのだ。

「ボールを握る時間」から「ボールを持たせる時間」の対処法(この柏戦については、柏がやや守備の立ち位置を変えたり、プレスの圧力を強めた結果で「川崎から見てボールを持たれた時間」の可能性もあるが)という点で、常勝軍団時代の鹿島のような力強さを見せることができていない。川崎が新たな常勝軍団となるには、やはりここの意思統一は必要かもしれない。

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