久保建英とビジャレアル~「無双の天才」と「育成の楽園」(2)24人中11人のカンテラの画像
ビジャレアル戦での久保建英 写真:アフロ

 ※久保建英とビジャレアル~「無双の天才」と「育成の楽園」(1)会長の求めた“変化”はこちら

 19-20シーズン開幕時、ビジャレアルのトップ登録は24名だった。そのうち11名がビジャレアルのカンテラでプレーした経験のある選手だった。加えて、フェル・ニーニョ、アレックス・バエナといった選手が今季リーガ1部デビューを飾っている。

 一方、サンティ・カソルラやブルーノ・ソリアーノという象徴的な存在がこの夏にクラブを去る。監督交代然り、何かしらの変化は避けられない。

 以前、ビジャレアルの関係者に「補強と育成のバランス」について話を聞いたことがある。難しいのは、カンテラに投資する予算を確保した上で補強で能力の高い選手を獲得してくるところだと言っていた。

 そういった状況で久保建英獲得に動いたのは見逃せないポイントだ。レンタル料+年俸で300万ユーロ~500万ユーロの資金が必要になるといわれている久保の獲得は少なからずビジャレアルの負担になる。リーガ1部の19歳の選手としては久保の年俸は安くない。当然、ビジャレアルにとってはカンテラーノをトップ起用した方が費用対効果が高い。

 それでも久保を獲りに行くというのは、彼が計算の立つ選手であり、何よりエメリ監督が求めているからだろう。

 久保はマジョルカで一時序列が下がっていた。だが冬の移籍市場でアレハンドロ・ポソがセビージャから加入し、クチョ・エルナンデスが長い負傷離脱から復帰して、彼らと良好な関係が築かれ道が開けた。若い選手たち同士のフィーリングというのは侮れない。

 期待を高め過ぎてはいけない。だが「選手育成」という視点からビジャレアルが現在の久保に適したクラブだと言うことはできるだろう。