バルセロナ「2対8」リスボンの悲劇と“救世主”メッシの限界(2)リミットの2021年夏とバルサゲートの画像
バイエルン戦後のメッシ 写真:代表撮影/ロイター/アフロ

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 またしても、バルセロナのビッグイヤー獲得はお預けとなった。

 2019ー20シーズンのチャンピオンズリーグで準々決勝に進出したバルセロナだが、バイエルン・ミュンヘンに敗れてベスト8敗退が決定した。それだけではなく、2-8というショッキングな大敗がバルセロニスタの胸をえぐっている。

■救世主となってきたメッシ

 監督交代をめぐっては、リオネル・メッシとスポーツディレクターのエリック・アビダルが舌戦を繰り広げることになった。地元メディアのインタビューで一部の選手たちが前監督を信じていなかったと明かしたアビダルに、メッシが名前を出さずに公の場で批判を行うのはフェアではないと反論した。クラブと選手の関係は悪化の一途を辿っていた。

 実際、バルセロナはメッシとの契約延長にこぎ着けられていない。メッシとの現行契約は2021年夏までだ。このままだと、メッシは来年の夏にフリーで移籍することが可能になる。バルサ愛が強いメッシだから、移籍の可能性は低いだろう。だがしかし、契約延長にサインをしていないのはメッシの無言の訴えに思える。

 また、「バルサゲート」と称される問題で、バルセロナが『i3ベンチャーズ』に依頼してサイバー空間でOB選手に対して攻撃的な発言をしていた可能性が取り沙汰された。バルトメウ会長は騒動後すぐに該当企業との契約を解除したが、なんとも後味の悪い出来事だった。

 クラブが陰で選手を責めているなど、目も当てられない状況だ。バルベルデはロッカールームのコントロールを失っていたと言われている。だが選手たちのコントロールを失っているのは指揮官ではない。クラブだ。それはセティエンと選手の関係性の悪さからも見て取れる。

 バルセロナはこれまでメッシに幾度となく救われてきた。窮地に陥ったところで、メッシが圧倒的なパフォーマンスでチームを勝利に導き、周囲の喧騒が鎮まるという現象が度々起きていた。だがビッグイヤーから遠ざかり5年が経過する。もはやメッシの圧巻のプレーでさえ、負の連鎖を断ち切るための有効な手段ではなくなってきている。