浦和レッズ「最大級の死角」サイドの視点(1)“出口”を失ったボールの画像
ドリブルで持ち上がろうとするDF橋岡  撮影:中地拓也
神戸と戦う浦和の選手の雄姿はこちら!

 午後9時37分頃、小雨が地面を濡らしていた。すでに、人はめっきり減っていた。暗闇の中でいたたまれないサポーターは、「アイツはダメだって分かんないのかな?」「変えなきゃダメなんだよ」と、口を尖らせる。それにうなずくサポーターもいれば、別の意見を強い調子で重ねるサポーターもいる。敗戦に加えて急に降ってきた雨に、怒りのやり場をどこに向ければいいのか、という様子だった。

 前日まで雨予報だった、J1第12節の浦和レッズヴィッセル神戸の一戦の夜は、天気予報に反して晴れた。試合前にピッチに水をまくほど、天気は良かった。ただ、浦和にとっての試合内容は決して快晴といえなかった。前節から10人を入れ替えた神戸を相手に負けた結果もそうだが、内容も決して褒められたものではなかった。

 大槻毅監督のサッカーというものが明確に分からないが、特に攻撃においてやりたいことが分かりにくかった。よく、「良い守備から素早い攻撃」「4-4-2でバランス良く」との説明をする人がいるが、良い守備を心がけないチームはなかなかないし、バランスをあえて崩すチームもない。つまるところ、目標は没個性なのか、とうがった見方をしたくもなる。

 その大槻監督は、神戸戦にあたってスタメンを2人替えた。同時に、左サイドではサイドバックに山中亮輔、サイドハーフに関根貴大という組み合わせを採用した。前節の関根貴大・宇賀神友弥コンビからの変更で、山中・関根の組み合わせは2-0で勝った第7節横浜FC戦以来となる。ちなみに、右サイドの長澤和輝橋岡大樹コンビ前節同様だ。

“控え組”といってもいい神戸に対し、前半の浦和はチームとして攻撃を構築することがなかなかできなかった。浦和の攻撃は極めて単発で、武藤雄樹のフリック以外には意外性も少なかった。

 また、つなごうとする神戸に対し、高い位置からのカウンターを狙って前線がプレスに行った。レオナルドがゴール前でボールを奪うなど、試合を通していくつかチャンスを作ったから、ある程度狙い通りではあった。ただし、1列目の2人と2列目の4人の間が空くことが多く、そこでセルジ・サンペールなどに自由に持たれる場面も散見された。

 一方の神戸の前線も、浦和同様にプレスをかけていた。ただし、その対応では神戸と浦和でかなり差があった。神戸はつなぐ意識が強すぎたために、先述したようなピンチを招くこともあった。ただし、最終ラインからボールを脱出させる方法を持っていた。

PHOTO GALLERY 神戸と戦う浦和の選手の雄姿はこちら!
  1. 1
  2. 2