「川崎フロンターレはパス・サッカーの究極形である」スポーツ比較解剖学(1)パス精度の究極は水球の画像
川崎フロンターレの象徴たるMF中村憲剛 写真:中地拓也

パスをつなぎ、シュートを放って、相手ゴールを陥れるスポーツ――水球、バスケット、ハンドボール、アイスホッケーを、パスを主体に考察し、比較した。それをサッカーに当てはめると、川崎フロンターレはなぜ強いのか、その理由が見えてきた。

■目を奪った緻密なパス回し

 2000年のシドニー・オリンピックではパトリック・エムボマやサミュエル・エトーのカメルーン代表が、シャビ・エルナンデスやカルレス・プジョルのいたスペイン代表を破って優勝。同国史上初めての金メダルを獲得した。

 フィリップ・トルシエ監督率いる日本代表中村俊輔や中田英寿、高原直泰、松田直樹、楢崎正剛といった錚々たるメンバーがそろっており、メダル獲得も期待されたが、準々決勝でアメリカと引き分けてPK戦の末に姿を消してしまった。

 カメルーンとスペインのサッカー決勝が行われた「スタジアム・オーストラリア(ANZスタジアム)」のすぐ南側には国際水泳センターがあり、たまたまチケットが手に入ったので僕は水球の男子決勝戦を観戦した(ハンガリーがロシアに13対6で大勝して金メダルを獲得した)。

 僕にとって水球を生で観戦するのはこれが初めてだったが、その緻密なパス回しに目を奪われた。

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