日本サッカー協会への提言「ヨーロッパに代表の拠点を!」(2)オランダかドイツに「海外版JFA夢フィールド」の画像
オランダで合宿中のサッカー日本代表 提供/日本サッカー協会
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※第1回はこちらより

強い対戦国と普段から試合を重ねることが、代表を強化するにはもっとも適切な手段であることは、もはや論を待たないだろう。日本代表だけでなく、アジアやアフリカの強豪国の代表メンバーは、その大半がヨーロッパの強豪クラブに所属している。互いに良いコンディションでの親善試合を組むために、ヨーロッパに日本代表の活動拠点を設けてはどうだろう。ヨーロッパの強豪国の代表と真剣に試合をする機会も出てくるのではないか。

■親善試合の半数程度はヨーロッパで行えば

 今回は、たまたまコロナウイルス問題が原因でユトレヒトでの試合が実現したのだが、そうした数々のメリットを考えるなら“平常時”でもヨーロッパで合宿なり試合を行う可能性を探ってもよいのではないだろうか。

 もちろん、日本国内で親善試合を行えば、日本代表やサッカーへの注目度を上げることができるし、またJFAに巨額の入場料収入がもたらされるわけだから、すべての試合をヨーロッパで行うわけにはいかないが、親善試合の半数程度はヨーロッパで行うようにしてはどうだろうか。

 それによって「海外組」の負担を軽減できるし、強い相手とプレーすることも可能になる。同じカメルーンでも、日本まで遠征してきてコンディションの整っていない場合と、ヨーロッパで戦う場合ではまったく違うチームになってしまう(カメルーンやコートジボワールの代表選手もすべてヨーロッパのクラブでプレーしている)。さらに、もしヨーロッパの代表チームと対戦できれば、強い相手とのアウェーゲームを経験することもできる。

 日本代表の強化を考えれば、強い相手との試合をいかに増やすかが非常に重要になってくるのだ。ヨーロッパで試合を組むことには多くのメリットがある。

 もちろん、その場合、Jリーグでプレーしている選手には長距離移動を強いることになるが、日本国内で試合を行うこともあるのだから「『海外組』と負担を分け合う」と考えればいいだろう。

 親善試合だけではない。

 アジアでの予選の試合が組まれている場合でも、もし中東でのアウェーゲームがあるとすれば、ヨーロッパで事前合宿をすることも可能だ。
「海外組」が長距離移動をして日本で事前合宿を行ってから中東に移動するとすれば、2度の移動と時差調整が必要となる。その点、ヨーロッパで事前合宿をすれば、長距離移動は中東までの移動1回だけですむ。

 Jリーグでプレーしている選手にとっても、いったんヨーロッパまで飛んで、そこで「海外組」と合流して準備を行ってから中東に移動してもそれほど負担が増えるわけではないし、あるいは「海外組」はヨーロッパで準備を進め、中東の現地で「国内組」と合流することも考えられる。

 さらに、東アジアや東南アジアで1試合、中東で1試合をこなす日程になった場合には、東アジアでの試合は「国内組」主体で、中東での試合は「海外組」主体で戦い、両方の試合に参加する選手は一部に限定することだってできる。“最強メンバー”ではなくなってしまったとしても、2試合で選手を入れ替えることによってよりコンディションの良い状態で戦うことができるはずだ。

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