ルヴァン杯決勝 FC東京の「戦略と未来見取り図」(3)「大きくてテクニカル」原大智と品田愛斗の「ハーフポジション」の画像
クリスティアーノとボールを競り合う品田愛斗(FC東京) 撮影/原悦生

※第2回はこちらより

11月7日にYBCルヴァンカップの決勝戦がある。カードは柏レイソルFC東京。その10日前に行われ、まさに前哨戦となったJ1リーグでの同カードの戦いの勝者は柏レイソルだった。この試合、FC東京は大胆なターンオーバーを行なった。そこには、他のクラブではなかなか実現できないであろう、ある戦略が秘められていたのだ。

■大きくてテクニカルなFW原大智に注目

 柏戦で驚いたのは、その若い選手たちがそろって先発したことだった。そして、彼らはあの久保建英がFC東京に在席していた頃にU-18やU-23で久保と一緒に戦っていた選手だった。

 久保のプレーを見るためもあって、当時は僕もFC東京のU-18やU-23のゲームを何度も観戦していた。従って柏戦に出場していた若手選手たちもユース時代から知っている選手ばかりだったので、彼らの成長ぶりを見ることができたことも嬉しかった。

 柏戦で高萩とボランチを組んでいた品田は、U-18時代からなかなかスケール感のあるMFで、深い位置まで見通して長いパスが出せる選手であり、柏戦でもその才能の片鱗はよく見て取れた。

 テクニカルなミスもたしかに多かったし、「そこで前に勝負のパスを出してもらいたい」という場面でバックパスを使うなどの判断ミスもあった。

 だが、それは経験の浅い選手であれば仕方のないことだろう。

 一方で、相手のマークをうまくはずれて、いわゆる「ハーフポジション」の小さなスペースに入り込んでパスを受ける才能はすばらしかった。そのため、ボールタッチ回数はかなり多くなり、それが「ミスが多かった」という印象につながってしまったが、良い位置に入り込んで味方のパスを引き出すセンスは証明することができた。

 FWの原大智は、これまではゲームの終盤でサブとして起用されたことが多かったが、先発した柏戦でも随所に好プレーを見せた。

 原といえば191センチという長身が目につくが、単に高さだけを武器にした選手ではない。原は高校生時代に身長が急に伸びたのだが、それ以前はむしろ小柄でテクニシャンタイプの選手だったのだという。身長が伸びた当初は、自分の大きな体を持て余している時期もあったが、最近は大きさを生かしたダイナミックなドリブルを覚え、大きさを生かしたプレーとテクニックを生かしたプレーを織り交ぜることができるようになってきた。

 柏戦でも右サイドを大きなストライドでぐんぐんと進む力強いドリブルを見せていたが、ドリブルしながら速いタイミングで正確なクロスを入れてチャンスメークができていた。大きく速く動きながらクロスやパスを繰り出せ、しかも高さも兼ね備えた新しいタイプのアタッカーとして、今後大きく成長するかもしれない注目の選手だ。

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