後藤健生の「蹴球放浪記」連載第38回「2013年ブラジル・コンフェデ杯、ウォッカとコパカバーナの記憶」の巻の画像
コンフェデレーションズカップのADカード 提供:後藤健生
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誰にでも酒での失敗はある。アルコール三番勝負の最終夜の今回は、後藤さんの、或る夜の出来事が明かされる。

■マラカナンでのレセプション

 ウォッカという酒は実に恐ろしい酒です。

 これまでの人生を振り返ってみても、“酒の上での失敗”の原因はほとんどウォッカでした(「ウォッカ」というカタカナ表記は正しくありません。原語に近いのは「ウオトカ」か「ヴォートカ」ですが、ロシア語にするのかポーランド語にするのかという問題もあり、ここでは日本語の慣用に従って「ウォッカ」と書きます)。

 赤坂で飲んだ時には、その後、山手線に乗っていた記憶もあるのですが、最終的には中央線・終電の終着駅、高尾で目が覚めました。高尾駅の待合室には同じように高尾に辿り着いてしまった酔っ払いが10人ほどいて、しかも何人かはこの駅でしょっちゅう顔を合わせる常連のようで、待合室でまた酒盛りをしていました!

 横浜の桜木町で飲んだ後、東横線の渋谷行きに乗って(まだ、東横線が桜木町まで走っていた頃の話です)目が覚めたら横浜駅でした。「なんだ、まだ横浜か」と思ったのですが、何か様子が変でした。そう、僕が乗っていたのは桜木町行きの下り電車だったのです。渋谷まで行って、そこで目が覚めずにそのまま乗り過ごし、横浜まで1往復してしまったというわけです(もしかしたら2往復……?)。

 2013年にコンフェデレーションズカップがブラジルで開催されました。

 ザッケローニ監督の日本代表も参加しましたが、ワールドカップ予選もあったのでカタール・ドーハの砂嵐の中でイラクと戦ってからブラジルに移動して中3日で開催国のブラジルと対戦。当然コンディションが悪く、準備万端整えたブラジルに0対3と完敗。激しい撃ち合いとなったイタリア戦も3対4で落とし、メキシコにも敗れて3連敗に終わりました。そして、6月30日の決勝はブラジル対スペインの好カードとなり、ブラジルが3対0で勝利しました。

 その決勝の前日、6月29日の昼にマラカナン・スタジアムで2018年ロシア・ワールドカップ組織委員会によるレセプションが行われたので顔を出してみました。5年後のワールドカップをPRするための催しです。何かお土産をくれるに違いありません(お土産は、真っ赤な半袖のポロシャツでした)。

 レセプションには当時ロシア代表監督だったファビオ・カペッロも姿を見せ、「ロシアでの準備は順調に進んでいる」といった通り一遍のスピーチをしていました。いつも、あまり愛想の良い人ではありません。

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