なにもかもが未曾有の事態だった２０２０年。Ｊでは史上空前の勢いで川崎フロンターレが駆け抜け、ＡＣＬに出場した３チームは苦い結末を迎えた。ピッチ上ではさまざまな変化があったが、変わらないこともあった。新たな星が日々生まれ、偉大なディエゴは逝ってしまった。サッカージャーナリストの大住良之、後藤健生の２人が、あらためて激動の１年を振り返る。
大住「この間、サッカーライターの田村修一さんと話していたんだけど。今シーズンのＪリーグのＭＶＰは誰だろうって。それは難しいよね」（※対談後に発表されたＭＶＰは柏のマイケル・オルンガ）
後藤「……難しいな」
大住「でしょ？」
後藤「もし選べと言われたら困るな」
大住「川崎で一番試合に出ているのは、チョン・ソンリョンなんだよね。次が山根視来。」
後藤「チョン・ソンリョンのおかげで勝ったかというと……うーん」
大住「山根は大好きだけど、ちょっと渋過ぎるよ」
―では谷口彰悟選手でどうでしょうか？
後藤「うーん……だれを選んでもな……たとえば登里享平なんかも良いよ」
大住「たしかに良かった、頑張ったよね。チームに隙を作らせなかったのは登里享平のおかげな気がするよね。彼がガッと上がっていく、ガッと下がる、タックルする、というのは本当にすごかった」
後藤「守田英正は？」
大住「うーん……だから川崎から選べって言われたら困らない？」
後藤「困る」
大住「じゃあマイケル・オルンガにしようかと言えば、そうはいかないし。川崎の選手は怒るだろうね。だから……ナシ、ってことで」（※Ｊリーグの結論としてはオルンガになった）
後藤「ハハハ」
大住「本当にそうなんだよ。誰って言えないんだよね。前回、家長昭博が獲った時も、ふーん、って感じだったしさ」
後藤「今年も家長昭博でも良い」
大住「たしかに家長でもいいね。彼はものすごい責任感を持ってプレーをしていたよね。あんなプレーヤーになるんだ、ってびっくりしたからね」
