「イタリアの戦術」の精髄!「ユベントス対インテル」ピルロ監督の“師弟対決リベンジ”の画像
コッパ・イタリア準決勝ユベントス対インテルのセカンドレグはドロー 写真:AFP/アフロ

【コッパ・イタリア 準決勝2ndレグ ユベントスvsインテル 2021年2月9日(日本時間28:45キックオフ)】

 アウェイでの1stレグをクリスティアーノ・ロナウドの2ゴールによって2-1で制しているユベントスは、この試合でこれまでと違う姿を見せた。

 開始1分の時点でアンドレア・ピルロ監督の考えが明らかになった。

 最終ラインからビルドアップをするユベントスは、自陣左サイドでフェデリコ・ベルナルデスキがボールを持つと前進を開始。最前線のロナウドがライン際に流れてサポート態勢に入った時点で、その内側を誰よりもインテルゴールに近い場所へ駆け上がっていく選手がいた。背番号は12、左サイドバックのアレックス・サンドロだ。

 ピルロ監督のユベントスは基本的に守備では4-4-2、攻撃では3-5-2となるが、サイドバックがインサイドハーフのようにプレーする姿を見せることはなかった。リーグ戦で完敗を喫したインテル相手に、カップ戦の2ndレグで初めて披露する奇策だった。

 偽サイドバックはペップ・グアルディオラ監督が浸透させ、現在も進化を続けている戦術だ。最近ではシティでの存在感の大きさからカンセロ・ロールという言葉が一気に広まった。その目的は、簡単に言えば中盤を楽にすることだ。内側にパスコースを作り、あるいは、内側で相手を引きつけて、ビルドアップしやすくさせる。

 この場面では、ベルナルデスキからボールを受けたロナウドが斜めにドリブルを開始、サンドロはその動きと交差するように移動した。構えていたミラン・シュクリニアルはどちらに付くべきか迷い動けなかった。ロナウドはサイドを駆け上がったベルナルデスキにリターンをしたが、危険を察してベルナルデスキと並走し続けていたアクラフ・ハキミによって未遂に終わった。

 2巡目の戦いが始まっているセリエAでは、ユベントスは6日にローマを下している。第2節で主導権を握られ2-2の引き分けに終わっていた相手を倒したピルロ監督は「シーズンの初めに対戦した時とは逆のことをした」と言い「非常に戦術的なイタリアでは、全ての試合で同じことができるとは限らないことを学んだ」と、前半戦から得た教訓を明かしている。

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