■ポジショニングはパスサッカーの生命線

 浦和は1月18日にトレーニングを開始し、最初の1週間はクラブの練習グラウンドで、そして1月24日から約2週間を沖縄で過ごし、その間に4試合のトレーニングマッチを行った。そして2月10日からはクラブの練習グラウンドに戻ってトレーニングを続けている。

 トレーニングマッチは、九州リーグの沖縄SV、J2の水戸ホーリーホック、J1のサガン鳥栖、J1のコンサドーレ札幌と行い、沖縄とは2−0、水戸とは4−3、鳥栖とは2−2、札幌とは1−4というスコアだった。キャンプ中のトレーニングマッチは疲労度の違いや布陣や組み合わせのテストもあるため、結果だけで戦力を測ることはできないが、札幌戦の失点は、GKを含めたDFラインからのビルドアップ時のミスをつかれてのものがあったようで、これはボールを保持して進めるサッカーへの切り替え時にどのチームも経験することだ。ポステコグルーの横浜FMも、1年目には、GKからのつなぎのミスで失点することが何度もあった。

 沖縄合宿を経て、選手たちが口々に語ったのは、新監督の指示が非常に細かいという点だった。ポジショニングはパスサッカーの生命線である。沖縄合宿で、ロドリゲス監督はピッチにラインを引いてポジショニングの意識を植えつけた。ピッチを縦に5等分、横に6等分して、攻撃時、守備時のポジショニングを指示したのだ。11人が的確なポジションを取ることによって、攻撃面ではオートマチズムが、そして守備面ではチャレンジとカバーの関係が良くなると、ロドリゲス監督は考えている。

 槙野智章宇賀神友弥といったベテランたちは、「攻撃面ではペトロヴィッチ監督時代に似ている」と話す。絶えずボールを動かし、そこにボールをもたない3人目、4人目の動きがはいることで相手の守備を崩そうという考え方だ。「ペトロヴィッチ監督時代の質の高いサッカーがまた見せられる」と、槙野は語る。
「ペトロヴィッチ監督時代の攻撃」プラス「前線から奪いに行く積極的でコンパクトな守備」が、浦和の新しいスタイルになりそうだ。

※第2回につづく

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