戦国J2いざ開戦!(1)J1昇格有力2チーム、長崎と磐田が持つ「継続性」と「2ケタFW」【J2のミカタ特別編】の画像
遠藤保仁(ジュビロ磐田)    写真:新井賢一/アフロ

■J1昇格候補の「必要条件」とは? 

 いつもと同じでありながら、いつもとは違う戦いになる。

 2021年のJ2リーグだ。

 前年同様に22チームで争われるが、J1から降格してきたクラブはない。J1へ昇格した徳島ヴォルティスアビスパ福岡にかわって、20年J3優勝のブラウブリッツ秋田、同2位のSC相模原がJ2に初めて参戦する。また、20年はJ3降格がなかったことを受け、今年は下位4チームが降格する。

 J1からの降格がなかったこともあり、今年のJ2は「本命不在」と言われる。プレーオフなしで上位2チームが昇格するレギュレーションは昨年と同じだが、「このチームとこのチームが昇格する」と言い切るのは昨年以上に難しい。

 ただ、前年までJ1で戦っていたチームが、必ずしも昇格候補の本命になるわけではない。

 昨年のJ2で言えば、ジュビロ磐田松本山雅FCがJ1から降格してきたチームだったが、磐田は6位、松本は13位に終わっている。さらに言えば、19年を16位で終えた福岡の昇格を、誰が予想できただろう。

 19年のJ2では、柏レイソルが1年でJ1に返り咲いた。ネルシーニョ監督が統べるチームは、近年ではかなり例外的な“大本命”だった。

 その一方で、V・ファーレン長崎は12位に終わった。さらにさかのぼって18年のJ2では、ヴァンフォーレ甲府アルビレックス新潟大宮アルディージャの3チームが、1年でのJ1返り咲きを逃した。

 では、昇格候補を指名する際の必要条件は何か。

 昨年の2チームは分かりやすい。

 徳島は「継続性」を強みとした。就任4年目のリカルド・ロドリゲス監督(現浦和レッズ監督)のもとでチームを固めていき、ピンポイントで補強をしながらスタイルを確立させていった。

 福岡は「経験と個の融合」で、昇格をつかみ取った。長谷部茂利監督は新任だったが、16年からジェフユナイテッド千葉のトップチームに関わり、18年と19年は水戸ホーリーホックを率いていた。J2というリーグの全体像や各クラブの力関係は、すでに把握できていたわけだ。

 そのうえで、水戸から前寛之ら3人を獲得し、外国籍選手はGK、CB、SB、FWに合計5人を揃えた。日本人の即戦力も補強し、シーズン途中にも新戦力を迎えた。長谷部監督は勝敗に直結する仕事ができる「個」と計算できる「個」を揃え、それらの「個」をユニットに、チームに仕立てていったのだった。

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