■未来に繋がる敗北だった

 しかし、健闘したことに満足している選手もいない。試合後の悔しい表情を見ればそれは明らかだ。

 小菊コーチはクルピ監督がこの状況に対して「大きなチャンスだ」と選手に伝えたことも明かした。おそらく「チャンス」はもうしばらく続く。中島や加藤らがこの悔しさをバネに勝ち点3をもたらす存在になれば、チームはより上のレベルに達する。

 幸い、セレッソはそういう下地のあるチームだ。

 瀬古がいなくなったこの試合、西尾が早くもリーダーとしての責任を持ってプレーした。前田大然を抑えきっただけでなく、10分に豊川がオフサイドながらネットを揺らした場面は、西尾から松田陸へのロングフィードがきっかけだった。若くても、経験が少なくても、試合に出ればセレッソの選手として責任を持ってプレーする。この敗戦をきっかけに、西尾は間違いなくまた大きく成長する。

 中島や加藤が最後のところで精度を欠いてしまったのも、自分がなんとかする、という気持ちが大きすぎたからだろう。大切なものは既に持っている。緊急事態の中での悔しい敗戦だったが、あれが未来へ繋がる試合だった、と振り返ることになる日が来るに違いない。

■試合結果

横浜F・マリノス 1―0 セレッソ大阪

■得点

87分 オナイウ阿道(横浜F・マリノス)

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