【CL分析】「苦しい時でも勝つチェルシー」ポルト戦勝利で見えた「ビッグイヤーの資格」の画像
先制点を決めたチェルシーのメイソン・マウント 写真:ロイター/アフロ

【UEFAチャンピオンズリーグ 準々決勝 1stレグ ポルトvsチェルシー 2021年4月7日(日本時間28:00キックオフ)】

 5・4・1で守るポルトに対し、チェルシーは3バック+ジョルジーニョが何度も組み立て直しながら攻撃の形を作ろうとしていた。ところがポルトの詰めは素早く、ジョルジーニョの横パスが狙われた。危険な位置で奪われることを避けたいチェルシーは、ロングボールを蹴って回収される、という悪循環に陥ってしまい、勢いなく試合の主導権を渡してしまった。

 守備だけでなく、その攻撃でもポルトはチェルシーに勢いを生ませなかった。シュートで終わるポルトの攻撃は、チェルシーの前線にいるカイ・ハヴェルツとティモ・ヴェルナーの存在を試合から消し去った。カウンターでスピードを活かす場面は皆無で、低い位置から個人で無理矢理持ち上がろうとすれば囲まれて奪われてしまった。

 こうして完全なポルトペースで試合は進んだが、勝利を手にしたのはチェルシーだった。

 32分、ジョルジーニョが縦にパスを入れると、メイソン・マウントが反転して即座にシュート。ボールはゴールキーパーが伸ばした手の横をすり抜けてネットを揺らした。

 ジョルジーニョの展開力とマウントの推進力はトーマス・トゥヘル監督のサッカーで前進することを支えている両輪だ。ポルトに試合を支配されながらもその2人が一瞬でアウェイゴールを奪ってみせたシーンは、最終的にトーナメントを勝ち上がるのはこういうチームだ、と感じさせるものだった。

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