「もう一つの最強の矛」横浜F・マリノス(3) 新たなるサイド攻撃の「見事な連携」の画像
相手を困らせるティーラトン(横浜F・マリノス) 撮影/原壮史
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どうやら横浜FMの完全復活の姿が見えてきたようだ。2019年の終盤、マリノスは無類の強さを発揮して、優勝への一本道を走りぬいた。2連覇中だった川崎フロンターレには勝ち点10差をつけての見事な戴冠だった。しかし、そのサッカーは他チームに研究し尽され、昨シーズンの異例な過密日程はハードワークを前提としたサッカーを9位に埋もれさせた。そして2021年、階段を一歩ずつ上がってきたマリノスは、FC東京に完勝して、ついに優勝争いに名乗りを上げた——。

■5月1日FC東京戦での3ゴール

 ここで、FC東京戦の3ゴールを振り返ってみよう。

 前半8分の1点目。右サイドアタッカーのエウベルはハーフラインを超えたあたりで、DFのチアゴ・マルチンスからのパスを受ける。タッチライン沿いで立ったままボールを受けたエウベルは、彼自身よりも前、しかも内側に位置していたサイドバックの松原にボールを預けて一気に加速した。そこに、松原からの絶妙のリターンパスが戻って来たことによってスピードに乗ったドリブルを開始して見事にサイドを破ったのだ。

 52分の2点目。今度は松原がチアゴ・マルチンスからのパスを受けたのは自陣の深いところだった。そして、松原からハーフライン手前のマルコス・ジュニオールに縦パスが入り、マルコス・ジュニオールは間髪を入れずにワンタッチで流してエウベルがドリブルに入った。

 さらに、3点目は自陣で相手のパスをインターセプトした松原が、すぐに相手のDFラインの前のスペースに入り込んだマルコス・ジュニオールに預け、マルコス・ジュニオールは左サイドを駆け上がるエウベルに合わせ、フリーになったエウベルのシュートをGKが弾いたところにオナイウが走り込んで決めたのだ。

 つまり、3点のゴールはすべて右サイドバックの松原が起点となって生まれているのだ。そして、ゴールシーンの他にも松原からエウベルには何度もパスが通っていた。

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