■巨大バーガー「モンスター」を食べつつ日系人の歩みを聞く

 

 ブラジルはじめ中南米の食材がびっしり並ぶ『ブラジルストア』は、現地の農場で日系ブラジル人が栽培しているというコーヒー豆も何種類も売っていたり、レジのまわりに子供が好きそうなお菓子がたくさん並べられている様子が楽しい。

 お目当ては併設されている食堂だ。移民の食材店では、ちょっとした食事ができる場所もあるのだが、こちらでは本格的なフェイジョアーダ(豆と肉のシチュー)と、名物だという巨大ハンバーガー「モンスター」をいただいた。やがて登場したデカブツは子供の頭ほどもある本当にモンスターだったわけだが、運んできてくれた陽気なアニキに話を聞くと、

「昔はこのあたりにソニーの工場があってね。それで日系人がたくさん集まってきたんだ」

 という。1990年、バブル期の人手不足を解消するために「出入国管理及び難民認定法」が改正され、日系人が日本で働き、定住できるようになった。これを機に北関東や東海地方を中心とした全国各地のおもに製造業の工場がある地域に、日系のブラジル人やペルー人が急増していったのだけど、鶴ヶ島もそのひとつだったようだ。

 しかしそんな日系人も年を取り、2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災を機に帰国する人も増えてきた。また鶴ヶ島でも日系人の代わりにベトナムやフィリピン、インドネシアの技能実習生が急増しているのだという。

「だからホレ、いまじゃ店の半分は東南アジアの食材だよ」

 とアニキは言う。こんな話を聞けるのが移民タウン巡りの面白さだ。日本の現代史と、移民の人生とがクロスしている。

 

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巨大ステーキとベーコンなどが多層になった怪物バーガーは1980円。4人で食べてお腹いっぱい

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産直ブラジルコーヒーはお土産にいいかも。移民食材店を巡っていると物欲が止まらない

ルポ新大久保 移民最前線都市を歩く

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