文・山田静


 3月1日、私は石垣島にいた。

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こちら竹富島。石垣島を拠点に、竹富島、波照間島へ。自分にしては忙しめの旅

 


「緊迫の3月、4月編に続く!」と前回締めくくっといてナンだが、3月頭、ビーチに座り込みポーク卵むすびを頬張っている私の姿からは1ミリの緊迫も感じられなかったはずだ。

 いや、まったく、ってことはない。相変わらず予約はキャンセルばっかりだし、新型コロナウイルスも怖い。

 でもまあ、自分がどうにかできる範疇はとっくに越えている。この機に日本人向けセールスを励んでは、という話もあったが、自己判断で来ていただくのはともかく、感染リスクが頭にありつつ「今こそ京都へ!」と宣伝するのは個人的にはちと抵抗がある。

 昔から、頑張ってもどうにもならないことは頑張らないことにしている。

 というわけで、工事により再び休業した3月頭、私も休みをとって沖縄に向かった。

「は? リスクは?」

 という皆様のお声が聞こえそうだけれども、自分のリスク判断は自分である程度して最後は自己責任で動いちゃう、ってのは、ひとり旅で培った習い性なのだった。

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オープンエアの場が多い石垣島や八重山諸島では3月頭の時点ではマスク姿の人もあまり見かけなかった。だが3月21日に沖縄初のクラスター発生が確認され、4月下旬には県知事や市長が「沖縄に来ないで」と呼びかける事態となった


 波照間島や竹富島で沖縄そばをすすっている間にも、現実は追いかけてくる。

「ひとりが先月イタリアに行ってたんですけど、入国スタンプがあってもフランスに行けますか?」

 食堂でうしろに座っていた女子大生っぽいグループが、旅行会社に卒業旅行の相談をしているのが聞こえてきた。3月に入ってからヨーロッパの感染者が急増し、LINEには連日スタッフからさらに増えたキャンセル対応の相談が届いていた。

 3月4日、京都に戻ってメールを開くと、イギリスのリピーターグループから4月の貸切り予約をキャンセルするという連絡が入っていた。

「ごめんなさい。秋には行けることを願っています」

 3月12日、WHOがパンデミック宣言。

 この日イタリアが、続いてスペイン、フランス……ヨーロッパ、そして世界各国が次々と移動制限をかけ、国を閉鎖していく様子を連日ニュースが伝える。同じ報道番組で、祇園や嵐山の閑散とした風景や、京都の宿が値崩れを起こしていることを報じていた。