そんな超正統派居住区の一角でスタンダップコメディアンが路上パフォーマンスを行い、近所の人たちが集まっていた。新市街の裏通りはブロックごとに宗派が異なる人々が暮らし、街角を飾るユダヤ教の装飾もそれぞれ宗派ごとに異なっているそうだ。


超正統派地域を抜けて、マハネイェフダ・マーケットの入口が見えてきた頃、バラクが最初に入ったのは若者で賑わうサビーフの店だった。サビーフは連載47回でも取り上げたが、焼き茄子とゆで卵と各種サラダをピタパンにパンパンに詰め込んだサンドイッチだ。好みでタヒーニやスフーグ(青唐辛子のペースト)、アンバー(マンゴーのペースト)などのソース、唐辛子や野菜のピクルスを足してくれる。ベジタリアン料理だが、サイズが大きく中身も詰まっているため、1個食べたらその日一日は何も食べられなくなるほど満腹になってしまうのが欠点だ。そこで3人で1個をシェアすることにした。
「一口かじる度に違う味を楽しめるのが良いサビーフなんだよ」とバラク。
確かに一口目はトロトロの焼き茄子とクリーミーなタヒーニとアンバー、二口目はフレッシュなキュウリやトマトのサラダ、三口目はホクホクのゆで卵とフライドポテトなど、かじる度に食感も味も異なるのだ。イスラエルの外では全く知られていないサビーフだが、ファラフェルと同じように、いつ世界的に人気が出てもおかしくない。





マハネイェフダ・マーケットの入口には有名なパン屋が数軒並んでいる。その一番目立つ場所を占めているのはユダヤ教の祝日のお菓子、揚げドーナツのスフガニアのはずだったが、今回はこれまで一度も見かけたことのなかったカラフルなマカロンが目立っていた。前月末に訪れたタンペレでも、2週間前のオスロでも、カラフルなマカロンがお菓子屋さんの店頭で一番目立っていた。数日前にフランソワーズへのお土産を買いに訪れた吉祥寺のデパ地下お菓子屋街でもマカロンを目にした。カラフルなマカロンは2019年末のグローバルな流行だったのか?


マハネイェフダ・マーケットの南側の入口

