なんとなくすっきりしないまま、翌朝、短い路線である島尻線に乗った。1日に3便の路線である。朝の7時半に営業所を発車する。発車時刻を5分ほどすぎたとき、軽自動車が現れた。そのハンドルを握っていたのがバスの運転手だった。鮮やかなオレンジ色のナイキのシューズを履いたおじさんだった。

 乗客は僕と中田浩資カメラマンだけだった。10分ほど走ると終点の島尻集落。そこでランドセル姿の男子小学生が乗ってきた。彼のために運行しているバスに映る。そこから迷走がはじまる。いや、久米島のバスはいろいろと考えて路線を決めているのかもしれないが、僕の頭のなかは混乱するばかりだった。



 小学生を仲里小学校で降ろした。そこからバスは島を右まわりで進みはじめた。バスには左まわりと書いてある。途中、3人が乗ってきた。8時に真謝公民館に着いた。と、バスはここでUターン。来た道を戻りはじめる。このまま乗っていれば、右まわりで島を一周できると思っていた僕は慌てた。運転手に訊いてみる。

「これは左まわりで島をまわるバスになったんです」

「じゃあ、営業所で降ろしてください」

「いや、営業所はもう停まりません」

 仲里庁舎前で降ろしてもらい、サトウキビ畑のなかの農道を歩いて営業所に戻った。30分近く待った。すると、朝、乗ったバスがやってきた。運転手も同じだ。

「今度は右まわりで走るよー」

 こうして久米島の全バス路線を制覇したのだった。

何回となくバスをまった営業所。職員は誰もいません。運転手の休憩所のようなもの

 

久米島バス路線

(次回に続きます)

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アジアが潜む沖縄そば、脊髄反射のようにカチャーシーを踊る人々、マイペースなおばぁ、突っ込みどころ満載の看板…日本なのになんだかゆるい沖縄には、いつも甘い香りの風が吹く。基地問題で揺れ、LCCが離島にも就航した沖縄。島の空気をいっぱいに吸い込む週末旅へ。