文と写真・山本益博

 

   今回は「1泊2食の旅」ではなく、小倉の鮨屋「天寿し」日帰り、島原の「ぺシコ」日帰り旅の変則版です。


    今や九州は東京から日帰りで食事できる圏内なのですね。小倉は知り合いが「天寿し」の予約をとり、お誘いを受けたところスケジュールが日帰りなら可能と言うことで出かけてゆきました。飛行機は北九州が便利なのですが、今回は羽田から福岡へ飛び、空港から博多駅まで地下鉄に乗り、博多から新幹線で小倉へ出ました。新幹線で博多・小倉間は20分足らずで行けます。


「天寿し」は東京までその評判が届く小倉の鮨屋の名店で、今回は2度目でした。一昨年春に出かけ、鮨を食べ終えた後、感想を問われ、二つほど申し上げたので、もしやそれが改善されているのに出かけないのは失礼とずっと気になっていたところでした。


   ひとつは、切りつけたすし種の魚を陶板の上にしばらく置いておくために、温度が上がって、どのすし種も同じ温度になってしまってもったいない、と感想を述べました。白身は低い温度で、赤身はそれよりも少し高め、あなごなどは常温が美味しいのです。


    もう一つは、あなごを握る前、炙っていたのですが、焦げてしまったところから苦みが出て、あなごの味を損ねて残念とお伝えしました。


 今回出かけると、この二つが見事にクリアされていて、改めて「天寿し」の天野親方の度量の広さを感じました。すし職人は、なかなか、お客の意見を素直に聞き入れてくれないものですから。


「天寿し」では、つまみが出た後、いきなりおおとろの握りが出てきます。お客はこれにびっくりしながら「美味いなあ」の声を挙げます。その後の飾り庖丁の入ったいかの握りにも感心しきり、さらに、鯛のうえに肝が後付けされた握りで大満足となります。


  

おおとろ
いか

 

鯛きも

 

    最後に、かんぴょう巻きをお願いすると、二代目の息子さんにバトンタッチ。その二代目が見事なかんぴょう巻きを巻簾で巻いてくれました。昔から、「ぼんやり、かっちり巻け」と言われ、ひょっとすると、握りより巻物のほうが難しいくらいです。

「江戸前」ならぬ「小倉前」の美味しい鮨を堪能して、東京へ戻りました。

 

親方の天野さんと一緒に