文と写真・時見宗和 

Text & Photo by Munekazu TOKIMI

 

 風の目

 列車で北に向かう。

 バンコクから約90分、ショートトリップの目的地はアユタヤ歴史公園。ユネスコの世界遺産に“古都アユタヤ”として登録されているが、いつものようにインターネットやガイドブックはほとんど見ていない。

 事前に知識を入れすぎてしまうと、ついつい「これ、知っている」「出ていた通りだ」と情報を確認する旅になってしまい、さらには、情報のないものの前を素通りしてしまいがちになるからだ。

 

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 今回、旅の前に目を通したのは、タイの高校3年生用の社会の教科書。“タイ社会の変容(伝統時代と近代)”に始まり、第2章で、経済よりも政治よりも国際社会よりも先に、芸術文化が取り上げられている。

――芸術文化とは、人間の創造物のことで、思想や愛着、信仰から生まれるものである。

 芸術文化の歴史は“古代”“伝統主義”“近代”の3つの時代に大別され、伝統主義の芸術文化のひとつであるアユタヤ芸術は、こう説明されている。

――仏歴19―24世紀、チャオプラヤー川流域に興ったアユッタヤー王国の美術である。この長い期間に、アユッタヤーでは独自の芸術作品が多分野にわたって生まれた。その様式は今日まで財産として受け継がれている。

 

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