ちなみに私は学生のときに参加した調査で、初めて見つけた土器をつかんで「アリました!」と高々と掲げたことがある。

「バカか!どこから出土したかわかんなくなるだろ!」

 現場を監督していた考古学研究室の助手のTさんから、めっちゃ怒鳴られながらも、「そうなんだ!」と納得したのを覚えている。発掘した際の遺物の扱いというのは、どこの遺構のどの土層(考古学では地層のことをこう呼ぶ)に伴うものなのか、遺物の素性が分かることがもっとも大事なのだ。それを愛のムチとともに学んだのだった。

 

発掘時の記録風景、白いボードが画板

 

 さて、こうやって説明すると、きついばかりで面白いことが何もないように思えるが、そんなことはない。どんな遺跡だろうと共通して訪れる最高の瞬間がある。

 すべての範囲を掘り終わったことを完掘という。何日もかけて遺跡を発掘するために真剣に向き合ってきたことで、遺跡全景を眺めると、私にはそこに居た人たちがイメージできるような気がするのだ。

 今の日本で見つかる住居跡、墓、道、祭祀場などの発掘では、冒頭で紹介したフィクション作品のように未発見の巨大遺跡を探してジャングルに分け入るようなロマンチックな冒険はできないだろう。だが、たとえどんな規模の遺跡であっても、土の下から古代人の生活の痕跡がみつかることに私は感動していたし、調査に携わった人たちの多くが、同じように思っていたと思う。そんな止まらないロマンチック魂を持ち続けることが考古学を志す人にとって、もっとも必要なものなのかもしれない。

 次回は整理作業と報告書についてお届けしたい。

 

MASTERゴンザレスのクレイジー考古学
MASTERゴンザレスのクレイジー考古学

TBS系列の旅番組『クレイジージャーニー』で人気を博し、今ではユーチューバーとしても活躍する危険地帯ジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、これまでの取材を通じて見てきた「裏社会」と、学生時代に修士号を取得した「考古学」を融合させた「ハイブリッド考古学」の実証に挑む。自身の半生を振り返りながら持論を展開する渾身の紀行エッセイ。