文と写真・サラーム海上

 

■イスラエルの音楽アーティスト見本市レポート

 2019年11月20日水曜午後5時半、いよいよイスラエルの音楽アーティストの見本市「International Showcase Music Festival」(以下「ISMF」)がエルサレム南部にあるライブハウス「Yellow Submarine」にてスタートした。

 会場のステージ手前にあるラウンジルームには約70名の海外ゲストと十数名の現地スタッフ、そして出演する音楽アーティストたちが集まっていた。外交官や市役所や観光局の職員までノーネクタイのカジュアルな姿でフランクに話しかけてくるのがいかにも諜報先進国のイスラエルらしい。僕はISMFの取材はこれが4度目なので、現地スタッフたちは古い友人と言ってもいい。彼らには日本のお土産のお茶菓子やウィスキーを差し入れた。

 

ISMFのメイン会場はエルサレム南部にあるライブハウス、イエローサブマリン

 

 6時からオープニングセレモニー、まずはエルサレム市長やプロデューサーによる開会の言葉、そして約70名の海外ゲストとスタッフによる自己紹介タイムが続く。ゲストは主にヨーロッパやアメリカ諸国のワールドミュージックやジャズのフェスティバルのオーガナイザーで、僕のようなラジオDJ/音楽評論家はマイノリティーだ。

 毎年のようにイスタンブルで会っていた「イスタンブル・ジャズ・フェスティバル」の主催者ハールン、二ヶ月前にポーランドのクラクフで取材した「ユダヤ文化フェスティバル」の主催者ヤヌシュ(連載第80回)、一月前にワールドミュージック見本市「WOMEX」(連載第102回)で会ったスペインのマネージメント会社のアラチェリなど、友人や見知った顔も多い。ワールドミュージック業界は狭いのだ。友人たちと再会を祝してイスラエルワインを乾杯し、奥のテーブルに並ぶ中東料理ブッフェでお腹を満たす。

 

世界中のワールドミュージック&ジャズ関係者が集まってきた!
イエローサブマリンのラウンジでISMFのオープニングセレモニー。話しているのは会場のマネージャーのアッチャ氏

 

 午後8時、ステージ前に移動すると、今回のISMFのトップバッター、トランペッターのアヴィシャイ・コーエン率いる5人組バンド、Avishai Cohen Big Viciousの演奏が始まった。日本では同名のベーシストのほうが知られているが、トランペッターのほうのアヴィシャイはじわじわとエモい演奏が身上で、ヨーロッパ中心に人気が高い。Big Viciousはアヴィシャイに加え、エレキギター二人、ドラムス二人というリズムに特化した変則的な編成で、正統派のジャズと言うよりもポスト・ロック的。メンバーそれぞれがジャズ、ロック、ヒップホップなどで活躍している精鋭揃いで、ギターやドラムス、トランペットの音一つでも存在感あふれるレベル。イギリスのマッシヴ・アタックの名曲「Tear Drop」をカヴァーするなど、日本の野外フェスに出演しても人気が出ること間違いない。

 

(左)トランペッターのアヴィシャイ・コーエン。出音に痺れる! (右)Big Viciousのギタリストの一人、ウジはBoom Pamのメンバーでもある