

3杯目のワインはまたまたフランスから、ブルゴーニュのオート・コート・ド・ボーヌの白。メインの魚料理は鱈の切り身を薄切りのジャガイモにのせ、クランブルをふりかけてオリーブオイルでコンフィーのように煮て、そこにサワークリーム、ベビーリーフ、仕上げに鮮やかな色のグリーンハーブオイルをかけてある。クリーム色と鮮やかな緑がいかにも新北欧料理らしい。柔らかく火を通した鱈の味がジャガイモにも浸透し、ハーブオイルが爽やかさと苦味というコントラストを足している。
そう言えば、味付けこそ異なるが、鱈とグリーンハーブオイルという組み合わせの料理を南インド・チェンナイの人気フュージョンレストラン『Avartana』で食べたことがある。今の時代、世界のどこに行っても優秀な料理人は同じような料理の風景を夢見ているということか。

やっとメインの肉料理までたどり着いた。イタリアのトスカーナの赤ワイン、ロッソ・ディ・モンタルチーノとともに運ばれてきたのは豚首肉、人参とマッシュルーム煮込み。しかし、これは中華料理の豚の角煮そのままだった。地元産の豚肉を醤油と八角で煮込むのはノルウェー人にとっては非常にエキゾチックなアイディアかもしれないが、日本人の僕にとっては醤油の味がキツかったのも含めて、全然ありがたみはないなあ。まあ外国人の勝手な思いこみかもしれないけど、メインくらいはもう少し北欧らしい伝統料理側に寄せてもいいのでは?

さて、最後にポートワインとともに運ばれてきたのは、地元産ブルーチーズと山羊のチーズにイチジクのジャム添え、そして、黒スグリの葉のアイスクリームにアップルクランブル。朝食ブッフェの回でも書いたが、ノルウェーはチーズ大国だ。ブルーチーズや山羊のチーズ、そしてノルウェーにしか存在しないブラウンチーズもジャムを付けてクラッカーに付けて頬張れば、デザートにもスナックにもなる。チーズ好きの僕にはノルウェーのチーズの美味さはうれしい発見だった。

さて、時計を見ると既に午後8時、お腹はちょうど良く満腹だ。新北欧料理研究はここまでにして、そろそろ夜の会場に向かい、オスロワールドの最終公演となるティナリウェンのライヴを観なければ!
