その日は渋谷と浅草に支店があるカフェ、『フグレン』のオスロ本店で美味いコーヒーをいただき、午後はムンク美術館に行き、「叫び」を鑑賞した。そして夕方から今回のメインの取材先である「オスロワールド」の開会式に出席し、泊まっている宿と同じ建物内にある歴史的な劇場「フォルケティーテレト(人民劇場)」で、素晴らしいオープニングコンサート「ユートピアン・ララバイズ」を観た。オスロワールドについては次回に記そう。

 

人気カフェ、フグレンのオスロ本店。NHKの裏通りにある渋谷支店は何度も訪れていたのだ
午後は地下鉄に乗って市内東部のムンク美術館へ行き、「叫び」を初鑑賞。この奇妙な色彩! ちなみに「叫び」には5つのバージョンがあるそう
夜からはフォルケティーテレト(人民劇場)にて「Oslo World」がスタート
世界7カ国8人の女性歌手 とノンバイナリー歌手が参加したオープニングコンサート「ユートピアン・ララバイズ」

 

 そして翌朝、午前6時に目を覚ました。夏時間から冬時間へと移行したばかりの10月末のオスロ、まだ外は真っ暗だ。海水パンツとバスタオルとミネラルウォーター、そしてスマホと一眼レフカメラだけ持って、誰も歩いていない町に飛び出した。気温はマイナス4℃。オスロはタンペレよりも南に位置するが、タンペレよりも冷え込みが厳しい。

 6時50分、ビョルヴィカ地区の埠頭に着くと、夜は少しずつ白んできて、青白い空にオペラハウスから漏れる黄色い灯りが浮かび上がっていた。コック・オスロからもオレンジ色の灯りが漏れていて、中で女性スタッフが開店準備を始めていた。この日は僕が一番最初のお客らしい。開店時間の7時になると、女性が階段を登ってきて、屋上から埠頭へと折りたたみ式の渡り廊下を伸ばしてくれた。


「おはようございます。予約した海上です」
「おはようございます。ようこそコック・オスロへ。初めてですか? 海水パンツとバスタオルは持ってきましたか? 室内は手前が更衣室で奥がサウナです。全員揃ってから火の温度を上げるので、それまでサウナでリラックスしていて下さい」

 

朝6時50分のビョルヴィカ地区。右がオペラハウス、左は公立図書館
(左)コック・オスロも開店準備中 (右)屋形船の屋上から埠頭にかけられた渡し廊下

 

 階段を降りると、船尾側の甲板になっていて、中央に船外機が設置されていた。季節が良ければ白夜の夜にフィヨルドをゆっくりとクルージングしながらサウナを楽しむことも出来るのだろう。船首側の甲板に入り口があり、靴を脱ぎ、更衣室に入る。6畳ほどの更衣室は男女共同だ。そこで海水パンツに着替えていると、次々とお客さんが入ってきた。

 

一階手前の男女共同の更衣室。ベンチの下が貴重品入れになっている