文と写真・サラーム海上
■音楽フェス「Oslo World」取材でフィンランドからノルウェーへ
2019年10月28日月曜、フィンランド・タンペレからノルウェーのオスロへと移動した。
オスロなんてサラームに似合わない!と多くの読者が思ってるはず? いや、僕自身もタンペレに加えて、次はオスロまで訪ねることになるとは思いもしなかった。しかし、予想のつかないことを受け入れて楽しまなければ人生はつまらないでしょう!
2018年夏に参加したイスタンブルの音楽見本市会場で意気投合し、連絡先を交換していたノルウェーの音楽フェス「Oslo World(オスロワールド)」の広報の女性から、一年後の2019年秋に連絡をもらったのが今回の訪問のきっかけだった。タンペレのWOMEXに来るなら、ついでにその翌週に開催されるオスロワールドに日本からの国際代表者として参加しないかと誘われたのだ。
オスロワールドについて調べると、1994年にスタートしたノルウェー最大のワールドミュージックのフェスティバルで、毎年10月下旬から11月初旬の一週間にわたり開催され、オスロ市内の複数の会場でコンサートをはじめ、ワークショップやレクチャー、パネルディスカッションなどもプログラムにしている。さらにオスロワールドミュージック財団として通年の活動を行い、世界中のワールド系フェスと連携し、中東やアジア地域からのアーティスト・イン・レジデンス受け入れや、オスロの若いアーティストの卵たちの支援や児童芸術調査記念日なども行っていることがわかった。
過去の出演アーティストをチェックすると、イスタンブルの友人のGaye Su Akyolや、キューバの双子姉妹Ibeyi、マリのFatoumata Diawara、スペインの個性派女優Rossy de Palmaなど、女性の比率が妙に高いことに気がついた。通常、ワールドミュージックのフェスというと、例えばキューバのブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブやモロッコのジャジューカのようにしなびたオヤジ率が高くなりがちなのだ。音楽アーティストたちが参加するレクチャーやパネルディスカッションも面白そうだし、せっかくのお誘いに乗らなくてどうする! そんな訳で日本の仕事のスケジュールを調整し、タンペレ6日の後、オスロに7日も延泊することにした。
タンペレ空港から国内線に乗り40分のフライトで午後3時半にヘルシンキに到着すると、空はどんよりと暗く、なんと吹雪が吹いていた。やはりタンペレにいた6日間で秋から冬へと季節が変わっていたのだ。そして、午後5時にヘルシンキからオスロへ90分のフライトだ。フィンランドとノルウェーには時差が一時間あるため、到着して腕時計を一時間戻した。すると、まだ午後5時35分。入国審査をサクっと通り、荷物をスムースに受け取り、空港駅から午後6時10分の特急電車に乗りこむと、6時35分にオスロ中央駅に到着した。
駅から指定された宿『Clarion Collection Hotel Folketeateret(クラリオン・コレクション・ホテル・フォルケティーテレト』までは徒歩5分、路面電車の線路が交差するデコボコの道を重いスーツケースを転がしながら歩いた。すると、午後7時前には宿にチェックインし、部屋のベッドにジャンプイン! ふ~、北欧はさすがに何事もスムースだなあ。中東や北アフリカ、インドなら、初めて着く町でこんなにスムースには行かないよ~。


それでも、2つの飛行機を乗り継いで半日の移動をし、さらに日本からの時差ボケを引きずったまま連日深夜過ぎまでWOMEXの取材を行っていたので、さすがに疲れが溜まっていた。今日くらいは早寝しよう! 幸いオスロワールドは翌日の夕方からのスタートだ。なので午後までは自由時間。初めての町、オスロの観光をするのも悪くない。夕食はホテルに込みのブッフェで軽くすませ、午後10時にはベッドに入った。
翌朝目を覚ますと午前6時半だった。冬の北欧では日が昇るのは午前8時過ぎなので、窓の外はまだ真っ暗だが、日本を出て一週間、初めて朝までぐっすり眠れたし、時差ボケがやっと治ってきた。すがすがしい朝のはずだが、僕には一つ疑問が湧き上がっていた。それは前夜いただいたブッフェ料理についてだ。野菜サラダや温野菜料理、肉料理、パスタも二種類、スープなど、食材も豊富に使い、ベジタリアンにも対応していたが、どの料理もどうにも味がしなかったのだ。塩や胡椒、スパイス、ハーブなどの調味料が全然足りず、全ての料理の味がボケていたのだ。
