「台湾ロス」のみなさんへ〈2〉

文・光瀬憲子

 前回に続き、『台湾一周!! 途中下車、美味しい旅』(双葉文庫)の取材写真を通して台湾の雰囲気を味わい、自粛生活の中で少しでも台湾に「行った気持ち」になっていただけたらうれしい。今回は台中から台北までのルートだ。

 

■台中の朝市 

 

 排気ガスで空気が澱んでいない朝。台中の街なかで存在感を示す市場がある。100年以上の歴史を誇る台中第二市場だ。活気のある朝市、美味しいものが多い朝市は各都市に見かけるが、これほど立派な門構えの市場はそうそうない。

 生鮮野菜、肉や魚はもちろん、美味しい朝ごはんが多いことでも知られる。都市化が進み、モダンなビルが立ち並ぶ台中で、この一角だけは昔ながらの風景を残している。

 

 

 大鍋から立ち上る湯気の中でしゃもじを握る屋台の主人をこれまでどれほど取材し、写真に収めただろう。特に朝市の澄んだ空気の中で立ち上る湯気には神々しささえ感じる。

 一杯20元、30元というスープや粥が、地元民や旅行者の胃袋を満たす。外食業は苦労が多いけれど、それでも美味しいものを作り続けて生計を立てていることに誇りを持ち、食べた人を笑顔にすることに喜びを感じる職人がたくさんいる。

 

■台中市豊原区、昼から夜市 

 

 台中から台鉄で北上した豊原という駅から10分ほど歩いたところにある「廟東夜市」。ここは「昼から始まる夜市」として有名だ。昼休みに訪れる近所のサラリーマン、台中からちょっと足を伸ばしたカップル、遠方からのツアー客などで、ランチタイムには狭い通りがごった返す。だが、外国人観光客はほとんど見かけない。

 この市場には、老舗の排骨麺、肉圓、蚵仔煎などの台湾グルメがぎゅっと詰まっている。地元客が、食べ終わった肉圓の碗にスープを注いで飲む様子は、いかにも通いなれているという感じで惚れ惚れする。

 

■過ごしやすい台中、開放的な食堂 

 

 台中は一年を通して気候が温暖だが、南部のように暑過ぎたり、台風の通り道になったりすることは少ないので、過ごしやすい。写真のような開放的な店でくつろぐのが楽しい街だ。

 台湾には日本のように酒を飲みながら美味しいものをつまめる店が案外少ないが、海鮮やガチョウ肉を扱う店なら、たいてい酒が置いてある。歩道に並べられた背の低いテーブルに腰掛け、店の外に置かれた生簀(いけす)で好きな海鮮を選んだり、店先に吊るされたガチョウ肉から好きな部位を選んでスライスしてもらい、緑色のボトルの台湾ビールを乾す。



 居酒屋風でありながら、普通に夕飯をとる家族連れがいたり、デート風のカップルがいたり。飾らない雰囲気がいかにも地方都市らしい。